GOLAN「マッド軍曹」に牙一族「ケマダ」も…『北斗の拳』いつまでもボスになれそうにない“副将級のゲスキャラ”の画像
ゼノンコミックスDX『北斗の拳【究極版】』第1巻(徳間書店)

 ジャンプ漫画の名作『北斗の拳』(原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏)には、なぜか憎めない敵キャラが多く存在する。ゲスなのだが彼らの個性的な言動は面白く、キャラによっては主要キャラより悪役キャラのほうが人気を誇っている場合もある。

 そこで、作中の序盤で初登場時にはインパクト大なのに、いつまでもボスにはなれない副将級のゲスキャラを見てみよう。

■インパクト大! 思わず敬礼してしまいそうなバリバリの軍人「マッド軍曹」

 神の国(ゴッドランド)「GOLAN」を壊滅させようと、単身敵地に乗り込んでいくケンシロウ。するといきなり「グワハハハ そうだ戦えい!!」というセリフとともに登場したのが、ベレー帽を被ったイカツい軍人。これこそが、GOLANに所属するマッド軍曹だ。

 顔面がアップで描かれていることもあり、初登場時からとんでもないインパクトだった。こんなのに遭遇したら「サー!」と思わず敬礼してしまいそうになるものだ。絶対パワハラだし、顔だけで鬼教官という印象である。

 さて、コイツの訓練は凄まじい。殺伐とした雰囲気のなか、部下たちに組み手をさせているのだが、「倒した相手はようしゃなく殺してかまわん!!」と、とんでもない檄を飛ばしている。
そのなかに兄弟で組み手をしている二人がいたのだが、弟を倒した兄は手にしたナイフを突き刺すことができない。そりゃそうだ、兄弟だもの。

 ところがマッド軍曹は「なにをしている…殺せ」と冷酷に命じる。先ほどの「グワハハハ」から一気にトーンを下げており、とにかく不気味だ。そして「倒したらすぐさす!! それが鉄則だ!!」と、ナイフを持つ兄の手首を握り、一気に弟の胸へ突き刺させる。いや、手がでかすぎるだろう……。

 もちろん、最期はケンシロウによって秘孔を突かれて軽く倒されてしまう。体の中心に大きな穴をあけられ、そして、「ひぇ…た…たすけてく…たわば!!」と、明言「たわば」を披露してやられてしまった。まあ、怪力具合でいうと、ボスのカーネル大佐には勝てないだろうな。

■見た目だけで”大悪党”と言われる…何かと可哀想だったジャッカル一味の「フォックス」

 次は、ジャッカル一味の最高幹部であるフォックスだ。彼は見るからに悪人面をしているのだが、やることなすこと非道。トヨの前で子どもたちを絞首刑にしようとしたり、ダイナマイトを子どもに装着して時間稼ぎをしようとするなど、初登場時からとんでもない外道な振る舞いを見せていた。

「跳刃地背拳」の使い手でもあるフォックス。次に登場したときには、目を見開いて舌を出し、行き倒れのように地面に仰向けとなっていた。とても怖い……。

 彼を見つけた村人たちからは「うわ! なんて 凶悪な人相だ!!」「こいつは きっと とんでもねぇ 大悪党だ!!」なんて言われ、挙句の果てに「生きているといかん 息の根をとめておこう」と、村人たちはフォックスを殺そうとする。って、おいおい、アンタらも怖いって……。

 そして、槍を突き刺そうとした村人たちの前からフォックスは急に消える。何と寝ながらの姿勢で宙に跳んでおり、その高さは村人たちが見上げるほど。

「なんだと〜〜!! このフォックスさまを バケモノみてえにいいやがって〜」と、怒るフォックス。目をギョロっとさせるのだが、背面跳びのような状態なので絶対に下は見えていない。とはいえ、仕込んだ剣で村人たちの首や顔を無惨に斬り落としていった。

 よく見ると、背を向けながら腕を動かしている。腕は逆には曲がらないから、村人たちの顔の位置まで自然に落下してから手をバタつかせているのか? なんとも隙だらけな拳法だ。

 こちらももちろんケンシロウの敵ではない。最期は蹴りを無数に食らい絶命していた。何かと可哀想なゲスキャラであった。

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