■30歳独身男と6歳少女の奇妙な生活『うさぎドロップ』
『うさぎドロップ』は2005年から2011年まで『FEEL YOUNG』(祥伝社)で連載された、宇仁田ゆみ氏による作品である。
30歳独身の主人公・ダイキチは、祖父の葬儀で祖父の隠し子である6歳の少女・りんと出会う。りんの引き取りを拒む親戚に腹を立てたダイキチはその場で彼女を引き取り、奇妙な共同生活が始まる……というストーリーだ。
本当の親子ではないのはもちろん、それどころか結婚すらしたことのないダイキチと祖父のもとで育ったりんは一般的な親子関係というものが分からない。それでも試行錯誤の生活を続けていくうちに、りんはダイキチを全身で頼るようになり、当初は子どもや女性が苦手だったダイキチも、りんがかけがえのない存在になっていく。
『うさぎドロップ』は物語後半で大きく展開する。幼い少女が少しずつ成長するストーリーかと思いきや、後半の展開は“そうきたか!”という物語になっており、目が離せない。
ダイキチとりんがそれぞれ成長していく姿はもちろん、後半2人を待ち受ける試練にどう立ち向かっていくかにも注目してほしい。
今回紹介した作品は、実際にはなかなか考えられないシチュエーションも多い。それでも苦難が続くなか、前向きに生きる姿勢を見せてくれる子どもたちの描写に元気をもらえることもあるだろう。
ぜひこれらの作品を読みながら、社会でできる子育てとは何かを考えていきたい。