■仲間の想いが繋いだ覚醒「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」ジョルノ・ジョバァーナ

 最後は『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦さん)第5部「黄金の風」の主人公であるジョルノ・ジョバァーナの覚醒シーンを紹介する。

 第5部のラストバトルであるディアボロ戦。“未来を予見し、その未来に至るまでの時を消し飛ばす”という、まさにチート級のスタンド「キング・クリムゾン」によって絶体絶命に陥るジョルノたち。筆者を含め読者の多くが「こんなスタンド、攻略不能だ」と思ったことだろう。

 それでもトリッシュの決死の反撃とブチャラティの犠牲によって、ジョルノは“スタンドの矢”を手にする。そして、ゴールド・エクスペリエンスに矢を突き刺したことによって、ジョルノのスタンドは「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」へと覚醒。

 まるで脱皮をするかのように、それまでの体を殻のようにして現れた「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」。額には“スタンドの矢”が浮かび上がり、“攻撃してくる相手の動作や意思の力をゼロに戻す”という究極の能力を持っていた。

 キング・クリムゾンの能力もこのスタンドによって無力化され、未来予知で見た「ジョルノの頭をブチ割ったという“真実”」にディアボロが到達することはなかった。

 最後は、ジョルノが“無駄無駄ラッシュ”でディアボロをブっ飛ばす展開に。『ジョジョ』らしい、最高に痺れる覚醒シーンだった。

 

 今回は「覚醒シーン」に震えたジャンプキャラを紹介してきた。覚醒シーンには“内に秘めた才”や“抑え込んでいた怪物”といった、ジャンプ作品らしいワクワクする設定があり、さらには主人公の戦う覚悟や人を守りたいという想いが強く表れているように思う。

 そして何といっても、それまでまったく歯が立たなかった強敵をブっ飛ばす瞬間は最高であり、まさにジャンプ漫画の醍醐味だった。

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