■『呪術廻戦』調伏の儀
最後に必殺技とは少し異なるが、芥見下々さんによる『呪術廻戦』の伏黒が行った式神との調伏の儀を紹介しよう。伏黒は十種影法術という術式で式神を操るが、式神を使役するには調伏の儀をしなくてはならない。式神と戦って勝てば調伏成功となる一方、もしその最中に式神に殺されると術師はそのまま死亡してしまう……。
儀式には複数人の参加が可能なうえ、無関係の人間を同意なしに巻きこめるので、敵を道連れにするための手段にもなる。伏黒がそんな使用方法を取ったのが呪詛師・重面春太に殺されそうになったときだ。彼は誰も調伏させたことのない最強の式神・八握剣異戒神将魔虚羅を顕現させると、重面に「先に逝く せいぜい頑張れ」と言い残して瞬殺される。
このまま儀式が終われば伏黒は死んでしまっていたが、それを救ったのが両面宿儺。彼は最強の式神を相手に領域展開「伏魔御廚子」を繰り出し、絶え間なく斬撃を浴びせて倒すのに成功したのだ。
本来なら倒すことができれば式神を獲得できるが、宿儺のように儀式とは関係ない人物が倒してしまうと儀式自体が無効になってしまう。結果、伏黒の儀式内での死も無事に取り消された。
宿儺は伏黒を生かすために魔虚羅と戦ったが、最強の式神をあっさりと倒してしまうところがすごい。実力差が他のキャラと比べてあまりにもありすぎる。一方の伏黒は玉砕覚悟で魔虚羅を顕現したのだが、わりと雑魚キャラの重面にあの局面で使用するのはどうかとも思ってしまった……。
意外にも、命と引き換えに放つ必殺技で相手を倒せることはあまりない。ひょっとしたら、その後の展開に使われるためのフリでしかないのかもしれない。それでも、一瞬のきらめきのように派手で印象に残る必殺技はカッコ良すぎるものである。