■まさにスペシャル!地球育ちのニュータイプ
ウッソは、アムロやカミーユといったニュータイプとまったく違うところがある。それは、地球出身であることだ。
宇宙世紀におけるニュータイプは、宇宙に適応して進化した新しい人類とされている。つまり、地球生まれ、地球育ちのウッソは従来のニュータイプ出生論を真っ向から否定する存在なのだ。それでいて周囲のメンバーからは「スペシャル」と呼ばれるほど、常人離れしたパイロット能力があった。
さらに初めて宇宙を経験してからはニュータイプ能力に拍車がかかり、ウッソ自身が気をつけなくてはいけないほど強くなってしまった。第39話「光の翼の歌」では、威嚇射撃をしたつもりが直撃。ウッソ自身が「避けてくれない!?」と驚いていた。そこでウッソは自身が強くなりすぎたことに気づき、手加減することを覚えている。訓練された大人のパイロットを相手に、13歳の少年が圧倒する様子はなにかの冗談に見えるほどだ。
映像化された宇宙世紀シリーズの時系列で、もっとも後期の年代を描いた『Vガンダム』。その主人公ウッソ・エヴィンは、アムロやカミーユといった名だたるパイロットと比べると明らかに異質な存在だ。
本作は「よく人が死ぬ」作品なので、もし主人公がアムロやカミーユだったら、目も当てられないようなダークなストーリーになっていたかもしれない。つまり、本作はウッソの強さがあったからこそ成り立った作品といえる。アフターストーリーとして大人になったウッソの活躍も見てみたいものだ。