■“味皇”を騙り教団設立『ミスター味っ子』クワイ・チャン・カモン

 最後は、先に紹介した『将太の寿司』と同じ、寺沢大介さんの人気料理漫画『ミスター味っ子』のクワイ・チャン・カモンを紹介したい。

 カモンはアニメ版に登場したキャラクターで、味将軍グループ七包丁の一人として登場した。頭を丸め、袈裟を来ており見た目は修行僧のよう。料理の腕もなかなかのものだったのだが、自らの正体を隠し香港料理界を裏から牛耳ろうとしていた。

 カモンは主人公・味吉陽一との2度の料理勝負に敗れ、味将軍グループを破門される。しかし、アニメ第81話で「味皇」の名を騙り、“味皇料理同盟”という教団を作って再登場。人々を洗脳して町を支配し、従わぬ者を排除しようとしていた。ちなみに、このとき発していた「食い改めよ!」というセリフも、絶妙に腹が立つものだった……。

 そして、町を救いに来た陽一&一馬コンビにカモンは“カレー勝負”を挑む。しかしここでも勝負直前で“カレーに別の国の料理を取り入れたもの”に変更するといった、相変わらずのクズっぷりを見せつける。

 それでも勝負に負けてしまったカモンは「虚けが! あんな素人の判定でこの神殿を穢されてたまるか!!」といちゃもんをつけ、最終的には味皇の正体がロボットだと暴かれ、人々の怒りを買い逃走していた。

 本来、クワイは将軍グループ七包丁の一人に数えられるくらい腕の立つ料理人のはずなのだが、正体を隠し潜伏したり人々を洗脳したりと、姑息で卑怯な手段が目立つ実に残念なクズキャラだった。

 ちなみに、アニメでのキャラクターボイスは、旧ジャイアンを演じたたてかべ和也さんが担当している。横暴な演技が際立っており、そのモットーである“俺の物は俺の物 人の物も俺の物”もどこかで聞き覚えのあるもので、テンションが上がってしまう。

 

 今回は、料理漫画に登場したやり方が汚すぎる卑劣なクズキャラたちを紹介してきた。ライバルへの妨害工作は当たり前、凶悪犯罪の数々、なかには超えてはいけない一線を超えてしまったキャラまでいた。

 現実にいたらとんでもないが、今回紹介したキャラたちは主人公たちをより輝かせ、作品をより豊かなものにするスパイスとなっていた。

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