バトル漫画では勝利こそがすべてであり、なかにはどんな卑怯な手段を使ってでも勝とうとする、いわゆる“クズキャラ”も登場する。一方、料理漫画は美味しい料理を作り楽しむ平和的なイメージがあるが、決してそんなことはない。料理漫画にも“クズキャラ”は登場し、ある意味クズさではバトル漫画を超えてしまっている者も。
そこで今回は、料理漫画に登場したやり方が汚すぎる卑劣なクズキャラたちを紹介する。
妨害工作だけでは済まされない行為のオンパレード……ぜひご覧いただきたい。
■妨害行為の度を超えた犯罪の数々『将太の寿司』笹寿司・笹木親子
まずは、寺沢大介さんの手掛けた料理漫画『将太の寿司』から、笹寿司の笹木親子を紹介する。本作は全編を通して、多くのクズキャラが登場することでも有名だ。そのなかでも断トツのクズキャラが、笹寿司の社長とその息子・笹木剛志であろう。
北海道を中心に全国展開する巨大チェーン店の“笹寿司”。その社長と息子・剛志の笹木親子は、地元を同じくする主人公・関口将太とその父・源治が営む“巴寿司”に対してかなりの執着心を持ち、その権力と財力を使って幾度となく妨害工作を企てていた。
コミックス3巻(掲載雑誌変更により再スタートがきられているので、実質的には1巻)では、笹寿司の執拗な妨害と嫌がらせにより将太の母・春子は過労で倒れ他界。父・源治は春子の死を境に人が変わったように精気を失うが、再起をかけ出場を決めた“小樽寿司握りコンテスト”でも、その目前で笹寿司社長が仕組んだ船の転覆事故で大怪我を負ってしまう。
笹木親子は、ライバル店への営業妨害やコンテストの不正は当たり前。器物損壊、脅迫、暴行、殺人未遂と数えればきりがないくらい凶悪犯罪を犯している。それに輪をかけ、息子の剛志は将太の前にたびたび現れては挑発を繰り返す。「ギャハハハ」と笑う姿は印象的で、まさにクズそのものだった。
しかし、そんな剛志も最終話では改心する。ほかの客に怒声を浴びせられながらも巴寿司に来店し、将太の握った寿司を食べて「旨かったよ 関口……!!」と涙を流すのだ。ちなみに、父のほうは最終話でも清々しいほどクズのままだった……。
■他人の不幸を心から喜ぶ『焼きたて!!ジャぱん』梓川雪乃
橋口たかしさんの『焼きたて!!ジャぱん』にも、梓川雪乃というとんでもないクズキャラが登場する。
雪乃は本作のヒロイン・梓川月乃の腹違いの姉であり、妹である月乃を目の敵にしている。月乃の母の葬儀では、その遺灰を枯れ木にぶちまけるという常軌を逸した行動も見せていた。
雪乃は泣きマネ、猿芝居、肉体関係と目的のためなら手段を選ばない。さらにタチの悪いことに、他人の不幸を本気で喜ぶというクズ中のクズである。
極めつけは、新人戦準決勝の妨害工作をSPにさせ、口封じのためそのSPを殺害、製粉機にかけて海にばら撒くなど、なんと殺人まで犯していた(アニメでは殺害そのものは想像にとどまり、SPは雪乃を恐れて自ら行方をくらませている設定になっている)。
その後、雪乃は和馬とのタルト対決に敗れたことで肉体そのものが空気になり、その空気を風船人形に注入してなんとか実体は保ったものの、そのまま人間に戻ることなく富士の樹海に放置されている。雪乃の最期は、それまでのクズ行為の報いを受けるような悲惨なものとなっていた。