■奇想天外な必殺技で難関ゲームを攻略『ゲームセンターあらし』
最後に、1979年に連載がスタートした、すがやみつるさんの『ゲームセンターあらし』を紹介したい。“テレビゲーム”をテーマにしており、作中では当時流行していた『スペースインベーダー』や『パックマン』なども登場する。
普段は冴えないがゲームの腕はピカイチの主人公・石野あらしが、数々の奇想天外な必殺技でゲームを攻略していくという内容で、当時としては画期的だった。
第1話「必殺!つるぎの舞」で描かれた『スペースインベーダー』攻略では、ピアノ教室で特訓をし身につけた技、“必殺UFO落とし・つるぎの舞”を使い、指から血を吹き出させながらも難関ゲームを攻略していた。
さらに、第2話「ウルトラスペシャル月面宙返り」では、“全日本インベーダー選手権”が開催される。プレイヤーははるか上空の飛行船からプレイし、観客は東京湾上に浮かぶタンカーに設置された巨大スクリーンで観戦するという、とてつもない規模の大会の模様にワクワクさせられた。
親指だけで逆立ち30分、縄跳び1000回の特訓で大会に挑んだあらし。ゲームマシンの上に逆立ちになり、最後はアクロバティックな回転技・“月面宙返り”で攻略していた。“テレビゲームは座って遊ぶもの”という固定概念をぶっ壊した作品だった。
今回は“おじさんたちが”子どもの頃にハラハラした『コロコロ』漫画を紹介してきた。いずれも「ガッツな笑いとド迫力」という、本誌のキャッチコピーそのままの作品だった。
ミニ四駆と並走してレースをしたり、ボールの威力で人やモノを弾き飛ばしたり、アクロバティックな技でゲームをしたりと、大人である今考えると「ちょっと現実的には厳しいかな」と思えるような技もある。しかし、子どもの筆者たちにとっては「今はできないけど“いつかできること”」であったのだ。『コロコロコミック』には、そんな子どもの心をワクワクさせる作品が溢れていたように思う。
創刊2周年を迎えた『週刊コロコロコミック』では、当時の漫画が掲載されていたりもする。ぜひこの機会に、名作たちを振り返ってみてはいかがだろうか。