■『アイシールド21』金剛阿含
最後は、原作:稲垣理一郎さん、作画:村田雄介さんによる『アイシールド21』(集英社)の金剛阿含だ。阿含は雲水との双子だが、身体能力が全く違う。“神速のインパルス”と呼ばれる、異常な反応速度によって他人の動きに後からでも追いつけてしまう。そんな能力を持つことで、誰も自分には敵わないと思ってしまったから、割り切って生きることにした。
阿含はアメフトを通じてライバルと出会うことになり、その中で特に認めていたのがセナである。セナに対してかなり煽っているが、それはどこか不安の現れでもあるかのように見えた。そして直接対決をすると、阿含の身体能力に追いつこうとするセナが覚醒。これまでラフプレーを避けてきたセナが、阿含の頭を押さえつけると地面に叩きつけて抜き去った。これにスカッとした読者も多いと思うが、それ以上にスカッとしたのが、蛭魔との直接対決だと思う。
阿含は蛭魔のことを自分より格下と思っており、「バーカ いらねーよ テメーらなんか」などと言って馬鹿にしてきた。しかし、蛭魔は必死に努力を続け、50メートル走の記録を1年で0.1秒縮め、阿含の猛追から逃れてタッチダウンを決めることができたのだ。このシーンは、震えがきてしまうほどの感動である。
阿含はそのまま敗北してしまったが、その後も特に性格を改めることはない。まあ、蛭魔の方が煽りでいうとかなり上だとは思うが……。
スポーツ漫画で相手を口撃するキャラは、勝負には欠かせない存在だと思う。散々煽られたことで、倒して得られる爽快感はかなりのものだからだ。これからも、必要以上に口撃してくるキャラにたくさん登場してもらいたい。