■「いけませぬ拳王様!!」ラオウに是々非々を問い矢を放ったザコ
最後にコミックス15巻「あえて愛を絶つ! の巻」より、ラオウを諭しユリアを助けようとしたザコを紹介する。
ケンシロウとの最後の戦いに向け、南斗五車星の一人であるフドウと戦ったラオウ。その結果、自分が恐怖するものは“愛”だということを知る。“愛とは? 哀しみとは?”それを知るためにラオウはユリアに“お前の命をくれ”と言って、ユリアに襲い掛かる。
そのときラオウの太ももに1本の矢が突き刺さる。それは彼の部下が放ったものだった。そして部下たちは「い…いけませぬ拳王様!! そ……その方だけは手にかけては!!」「わたくしどもはどうなってもかまいませぬ その方の命だけは」と、懇願する。それを聞いたラオウは「うぬらもユリアの慈母の宿星に打たれたか!!」と言い、刺さった矢を引き抜くのであった。
“ユリアの慈母の宿星に打たれた”らしいこのザコたちは、もはや“ザコ”呼ばわりしてはいけないほど知性的な顔立ちをしている。きっとユリアが介抱したであろう包帯を頭に巻き、ラオウに是々非々を問う表情は真剣そのものだ。もしかしたらこうなる前は、モヒカン頭の“ヒャッハー!”だったかもしれないが……。
ユリアの影響を受けると、ザコは外見、内面ともにここまで変わるのかと驚いてしまうシーンである。
「ヒャッハー!」や、「あべし!」といったセリフとともに散っていくザコたち。しかしあれだけの人数のなかには、今回紹介したような知的なザコもいた。拳王軍にいなければ、そのクレバーな頭を使ってもっとうまく生きていけるのでは?とも思う。
いずれにせよザコたちの存在は『北斗の拳』には欠かせない。どんなザコであろうとも、ストーリーを盛り上げてくれる大切なキャラクターだと言えるだろう。