■大人と子どもの違いを描いたキスのエピソード
最後は1995年放送開始、庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』第9話『瞬間、心、重ねて』から。葛城ミサトと加持リョウジのキスシーンだ。
『エヴァ』は14歳の少年少女が汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」のパイロットとなって謎の敵「使徒」と戦う物語だ。
特務機関NERV(ネルフ)で指揮官を務めるミサトは、加持とは大学のころに恋人関係であり、いわゆる元カレ。ともにNERVに所属しているが、エヴァパイロットである惣流・アスカ・ラングレーとともにドイツから来日した加持と再会する。
一度は別れた仲であり、ミサトは加持を拒否しようとする。だが、二人きりのエレベーターでキスをしようと迫ってくる加持をミサトは拒みきれない。口では嫌だと言いつつも本心は揺らいでいるのだ。
同話では主人公の碇シンジが、寝ぼけて布団に入ってきたアスカにキスしようとするシーンがある。だがシンジは寝ながら「ママ」と言うアスカにキスすることができない。
キスを通してよりを戻そうとしている「大人」なミサトと加持。親との関係に悩み、キスしなかった「子ども」のシンジとアスカ。大人と子どもの対比を描いたエピソードだ。
他にも『エヴァ』にはドキドキさせられるシーンは多い。ミサトと加持といえば、お茶の間を凍り付かせた第20話「心のかたち 人のかたち」でのベッドシーンも有名だ。キャラクターの組み合わせは違うが『旧劇』のキスシーンも印象深い。
子どもの頃にはドキドキしたシーンも、大人になった今見れば共感できるものになっているかもしれない。そういったシーンも改めて見直してみてはいかがだろうか。お子さんと見る時は気まずくならないようにご注意を。