鉄郎&メーテル、スレッガー&ミライ、ミサト&加持…「大人の世界を垣間見た」ドキドキしたSFアニメのキスシーンの画像
銀河鉄道999 [Blu-ray](東映アニメーション・東映ビデオ)/(C)松本零士・東映アニメーション

 子どもに向けて作られた作品の中に、「大人の世界」を見た経験はないだろうか。それはなにげない男女の会話だったり、あるいはもっと直接的なラブシーンだったり……、子どもが背伸びして理解したシーンが少なからず存在したものだ。

 今回は、その中から「SFアニメのキスシーン」を3つ紹介したい。昔のアニメ、子ども向けと侮るなかれ、当時の子どもたちがドキドキしたこと間違いなしの名シーン揃いだ。

■母か、恋人か、あまりにも有名なキスシーン

 作品を見たことがなくても、このタイトルを全く聞いたことがないという人は少ないだろう。トップバッターは松本零士さんの漫画を原作とした1978年放送開始のSFアニメ『銀河鉄道999』だ。

 テレビアニメ、劇場版で細かい設定に違いがあるが、銀河系の惑星同士が「銀河鉄道」という宇宙空間を走る列車で繋がれた未来の世界を舞台とした作品。主人公の少年・星野鉄郎が謎の美女メーテルとともに、無料で機械の身体をくれるという星を目指して銀河超特急999に乗って旅をする。

 そんな旅の終わり、訪れた別れに際してメーテルは鉄郎にキスをする。あまりにも有名なシーンだ。

 テレビアニメシリーズと3作の劇場版があるが、鉄郎とメーテルのキスシーンはテレビアニメの最終話と1979年に公開された劇場版第1作『銀河鉄道999』で描かれている。

 どちらも鉄郎とメーテルの別れを描いたシーンだが、それぞれの印象はまったく違う。まずテレビアニメでは主人公の鉄郎が10歳なのに対して、劇場版では15歳。加えて言えば劇場版の鉄郎のほうがイケメンになっている。

 キスの長さや2人の乗る列車など、演出も大きな違いがある。同じ切ない別れのシーンではあるが、見比べるのは面白い。

 メーテルの正体や目的は終盤まで明かされず、二人は母と子のようでもあり、恋人のようでもある。最後のキスの意味も見る人によって違うだろう。

■ホワイトベースの大人な恋

 続いては富野由悠季監督(当時:富野喜幸)による1979年のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』から。36話「恐怖!機動ビグ・ザム」のスレッガー・ロウとミライ・ヤシマのキスシーンだ。

 作中では連邦軍とジオン軍の戦争が描かれるが、同時にホワイトベースでの人間関係も見どころになっている。そこには恋愛も絡んでくるが、女性クルーの中で最も恋愛描写が多いのがミライだ。

 艦長であるブライト・ノア、かつての婚約者だったカムラン・ブルームがミライに想いを寄せていたが、彼女のハートを射止めたのはスレッガー・ロウだった。

 Gファイターのパイロットとしてソロモン攻略戦に出撃したスレッガーは、戦果を上げたが機体の損傷のため、一時ホワイトベースに帰艦する。

 心配そうなミライを見たブライトは「水臭いぞミライ」とスレッガーの元に送り出す。ミライとスレッガーは待機ボックスで二人きりになる。スレッガーは自分を想うミライに気付いているが、素っ気ない対応をして受け流そうとする。「俺は少尉(ミライ)の好意を受けられるような男じゃない」と気持ちを受け入れないことを伝えるが、母の形見を預かってほしいと言い、指輪をミライに渡す。

 その直後、ホワイトベースが揺れて二人は抱き合う。ミライは目を閉じ、スレッガーはそれに応えるようにキスをする。

 ミライへの想いを抱きながらも別の男の元へ送るブライト、ひかれ合っているのに愛してると言えない二人。作中でもトップクラスの大人なエピソードだ。

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