■賛否両論巻き起こった最終回・第51話「悪夢」
最後は、パート1の最終回・第51話「悪夢」を紹介したい。その衝撃の結末に、放送終了後、賛否両論が巻き起こった伝説の回”だ。
物語冒頭、山中という1人の男が殺される。それを助けることができなかった港署に対して“白いコートの男”が恨みを抱き、大下をはじめ次々と警察官が襲われる。この回は「“白いコートの男”は何者か?」という、ミステリー展開が続いた。
物語中盤では、港署もライフルによる激しい襲撃を受ける。作中、コメディパートの舞台であることが多かった港署が犯人によってここまでメチャクチャにされてしまうのは、かなり珍しいことだった。
襲撃と逃走を繰り返し、クルーザーに乗って海に逃げようとする“白い服の男”。ここで鷹山は「逮捕はあきらめよう 退治するんだよ」と決意、それに「OK」と返す大下。『あぶ刑事』らしい、実にカッコいい掛け合いも見られた。
そしてコンビは岸から“白い服の男”を狙撃。撃たれた犯人が海へ転落……と思ったら、なんと犯人はスッと透明になり消えてしまう。それを見た鷹山と大下は呆然(もちろん当時の視聴者も同じだっただろう)。
つまり、“白いコートの男”は幽霊で、一連の襲撃事件の犯人は物語冒頭で殺された山中本人だったという衝撃の“幽霊オチ”だったのだ。
この刑事ドラマでありえないような結末に、放送終了後は賛否両論が巻き起こった。SNSがなかった当時、放送した日本テレビにはハガキや手紙が多く寄せられたという。しかし、印象に残るストーリーであったことも確かで、現在でもファンの間では“伝説の回”として語り継がれている。
今回は、ドラマ『あぶない刑事』の名エピソードを振り返ってきた。当初2クールの予定でスタートした『あぶない刑事』は、その人気により1年間に放送が延長。さらに、テレビドラマが終了した同年、すぐに映画化を果たし、1988年にはパート2である『もっとあぶない刑事』が放送された。
そして昭和、平成とたびたび映画化され、今回は令和初となる8年ぶりの新作映画『帰ってきた あぶない刑事』の公開が控えている。
3つの時代に渡って視聴者を楽しませ続けてきた名作『あぶない刑事』。今回の映画はどんな名シーンが見られるのだろうか。今から非常に楽しみである。