アクション、RPG、恋愛アドベンチャーなど、さまざまなジャンルのゲームソフトがある。一方、字面だけでは内容を想像しがたい、意表を突いたジャンルを持つソフトも登場している。今回は、オリジナリティあふれる独特な“ジャンル”のゲームタイトルたちについて見ていこう。
■一歩を踏み出すだけでもまさに命懸け? 『カイジVR~絶望の鉄骨渡り~』
1996年から『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載された『賭博黙示録カイジ』は、福本伸行氏が手掛ける大人気ギャンブル漫画である。
本作では主人公・伊藤開司ことカイジが借金の返済のため、ギャンブルに挑んでいく。心理的な駆け引きはもちろん、登場するさまざまなギャンブルも見どころだ。
未だなお根強いファンも多い作品だが、なんと本作をベースにしたPlayStation VR用ソフトが2017年に発売されている。タイトルは『カイジVR~絶望の鉄骨渡り~』。原作でもおなじみのギャンブル・“鉄骨渡り”を、VR技術を駆使して疑似的に体験することができるのだ。
なんとも挑戦的な一作だが、本作のジャンルは「シネマティックVR鉄骨渡り」となっており、徹頭徹尾、“鉄骨渡り”にフォーカスを当てている。
ゲーム内では1番に渡り切った人間が大金を手にする“ブレイブメンロード”と、より高所かつ電流まで襲い掛かってくる“電流鉄骨渡り”の2パターンのモードが用意されている。コントローラーの傾きでバランスをとりながら、コントローラーの左右スティックで前に進んでいくのだが、ヘッドセット越しには実際に鉄骨の上からの景色を見渡すことができ、その臨場感は抜群。
約10メートルの高さを渡る“ブレイブメンロード”だけでもかなりの迫力があるが、“電流鉄骨渡り”ともなればその高さは74メートルになり、高所恐怖症でなくとも思わず足がすくんでしまうだろう。
ここぞというときに原作同様の“ざわざわ”といった擬音が聞こえてきたり、ほかの参加者が背中を押して妨害してきたりと、まさに漫画さながらの“鉄骨渡り”を楽しむことができる。
恐怖に打ち勝ち大金を手にするのか、はたまた絶望の淵に沈んでしまうのか。ギャンブル漫画の世界観を、ぜひその身で体感してみてほしい。
■オープンワールドを先取りした超大作! 『シェンムー』
1999年にセガ・エンタープライゼス(現:セガ)より発売されたドリームキャスト専用ソフト『シェンムー』は、現実そっくりに作り上げられた広大なフィールドを探索しストーリーを紐解いていく、アクションアドベンチャーだ。
現在でこそ“オープンワールド”というジャンルが知られているが、当時はこういった類の作品は少なく、いわばオープンワールドの元祖ともいえる一作でもある。
本作の目玉はなんと言ってもその自由度の高さであり、開発側もこれを大きなウリにしていたことから、ジャンルを「FREE(Full Reactive Eyes Entertainment)」と定義していた。
その言葉が指し示すように、プレイヤーはメインストーリーを進めつつ、合間に自由に街を練り歩くことができる。街では人々がそれぞれの日常を送っており、時間の経過や天候の変化などが再現されているのも、実に芸が細かい点だろう。
実は本作、ゲームクリエイター以外にもハリウッド関係者、スタジオジブリ関係者、音楽家、建築設計士といった各方面の“プロフェッショナル”が集結して製作されており、コントローラーひとつで映画の世界のなかに舞い降りたような、高い没入感を味わえる一作となっている。
また、イベントムービー中にコマンド入力を行う“QTE”を取り入れた最初の作品としても有名で、プレイヤーがゲームの世界観にのめり込めるようさまざまな工夫が施されているのだ。
豪華な制作陣と凄まじい開発費によって究極の“自由”を追求した、なんとも挑戦的すぎる一作である。