■ついた嘘は本当にしなくてはならない!「ハリ千本バッジ」

 てんとう虫コミックス10巻「ハリ千本ノマス」に登場した「ハリ千本バッジ」は、これを付けている時に嘘をつかれると、その人は嘘を本当にしなければいけなくなるというひみつ道具だ。

 毎年エイプリルフールに騙されるため、すっかり疑心暗鬼に陥っていたのび太。そんなのび太にドラえもんは「ハリ千本バッジ」を渡す。

 試しにのび太はママになにか嘘をつくよう頼み、ママは今月のお小遣いを1000円余計にあげると言う。するとバッジが「ノマスー」と唸り、その直後ママはのび太に1000円をあげざるを得なくなったのである。

 その後、のび太に“ケーキをやる”と嘘をついたジャイアンと、“切手のコレクションをみんなやる”と嘘をついたスネ夫も、嘘通り、泣く泣くのび太にケーキや切手をあげることとなった。

 すっかり機嫌の良くなったのび太だが、最後にしずかちゃんが「あんたの家が火事よ」と、とんでもない嘘をつく。自分の意志とは関係なく、しずかちゃんは火のついたマッチを持ってのび太の家へ向かい、それを慌ててのび太が止めるというオチで終わっている。

 作中、しずかちゃんは“あとでホッとさせる嘘のほうが親切だわ”と言っており、それゆえ“火事になる”という嘘をついたのだ。

 優しさをもってついた嘘であっても、それがすべて本当になってしまうのは恐ろしい。この道具は普段から嘘をつく人を懲らしめるには効果的だが、どんな嘘でも現実になってしまうのが問題だ。

 

 現在『ドラえもん』は映画シリーズ43作目となる『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』が公開中だ。本作のテーマは“音楽”で、音楽がエネルギーになる惑星の少女・ミッカとともに、ドラえもんやのび太のお馴染みメンバーがさまざまな冒険をする。

 本作では「“音楽の未来”は…のび太に託された!?」という、まるでエイプリルフールみたいなびっくりする展開も待っているようだ。どのようなピンチをどのようにのび太たちが解決していくのか、ぜひ劇場でチェックしてほしい。

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