■野球センスのない新入生が名門校の壮絶なシゴキに耐え抜いた『4P田中くん』田中球児

 最後は壮絶なシゴキを耐え抜いた『4P田中くん』(原作:七三太朗さん、作画:川三番地さん)の田中球児だ。

 10年に1人の逸材といわれる中学生の“田中球児”。しかし、これはなんと同姓同名の別人で、高校野球の名門でもある栄興学園は間違って彼をスカウトしてしまう。

 新入生の審査ではスローボールを打ち、ホームラン級の当たりを出すものの、実力が伴っていないことを露呈してしまい、同級生の佐竹によって別人であることが判明してしまう。

 今さら強制退部させることもできないので、田中が自主的に退部してもらおうと監督は特別メニューを課していく。またその内容が凄まじく、遠投とダッシュ200本、シートノックと素振りを500本、腕立て・腹筋を各500回、極めつけはうさぎ跳びでグラウンド10周……いやいや、鬼すぎるだろう。

 しかも、それを朝晩二回に増やすほど強烈なシゴキをしていくのだが、田中は信じられないほどの回復力で夜は独自の練習を重ねていき、自然と基礎能力も向上していった。田中のような才能のない選手を名門チームに置くこと自体マイナスになると考えた監督だったが、田中の努力を毎日見ているチームメイトは次第に応援するようになっていく。

 最終的に田中は監督からも認められるようになっていき、名門チームでレギュラーを獲得する。持ち前の明るいキャラクターでチームの中心人物となっていくのが、痛快だった。

 

 選抜高校野球はプロ野球が開幕直前とあって、毎年注目度も高い。前年の秋の大会から急成長を遂げる高校球児も多く、夏の選手権大会より波乱もあって面白い。

 ここで紹介したスポーツ漫画の主人公たちは壮絶な努力を重ねて成長していくのだが、方法は違えど現実の球児たちも甲子園を夢見て日々努力をしているものだろう。

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