■『鋼の錬金術師』アルフォンス・エルリック

 最後は荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)のアルフォンス・エルリックだ。アルは人体錬成の代償として肉体全てを失い、同じく片手片足を失った兄のエドとともに身体を取り戻すための旅に出た。彼らはお互い非常に強い絆で結ばれており、兄弟であると同時に相棒同士でもあるのだ。

 彼らは多くの仲間とともに、本作のラスボスである「お父様」の恐ろしい計画を阻止するため戦うことになる。もちろんアルも戦闘に加わるが、最終局面ではエドの右腕が破壊され、左腕は鉄筋に突き刺さって動けないという状況に……。

 このときアルは覚悟を決めて、エドの右腕の修復のために自らの魂を差し出してしまった。そのおかげでエドは復活を遂げ、お父様を返り討ちにして倒すことに成功。アルのこの判断がなければ全滅していたかもしれない。

 アルが居なくなったことには誰もが落胆し、父親のホーエンハイムは「俺の命を使って……アルフォンスを取り戻せ」と話す。しかし、エドは「ちょっと行ってくるわ 鋼の錬金術師最後の錬成にな!!」と言って自らを錬成の媒体にした。そして真理の扉の前に立つと、錬金術を捨てる代わりにアルを返せと要求する。

 その結果、アルは肉体と魂を取り戻すことになり、これまでかかわってきた人たちと再会することができたのだ。これまでの苦労が報われて、本当に良かったと思えるシーンといえる。

 さすがに、あのままアルが消失して終わってしまったら、反感が凄まじかったのは確実だろう……。

 

 相棒キャラの別れと再会は、別れが悲しすぎるほど再会した時の喜びも大きい。そして、どんな形であれ再会することができると、読者も思わずほっこりしてしまう。

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