■『弱虫ペダル』真波山岳
渡辺航氏による『弱虫ペダル』(秋田書店)の真波山岳も、遅刻キャラとして太鼓判を押されてしまう存在だ。
他のキャラは本戦では遅刻することはないが、真波は違う……。インターハイという大舞台でも堂々と遅刻をしてきて、開会式には間に合わず、到着した頃にはレース用のパンツすら履いていなかった。ここまでくると、やる気あるのか?と思ってしまうほどだ。
しかし、本番が始まるとまるで別人。長距離の坂を得意とする「クライマー」としての本領を発揮して、ライバルを置き去ってぶっちぎりの状態となってしまう。あれほどの実力差を見せつけられてしまうと、多少の遅刻も許されてしまいそうだ……。
さらに真波は天然で純粋なところがあるので、どこか憎めない存在でもある。自転車が好きすぎて没頭してしまい、その結果遅刻に繋がっているようにも見えるのだ。そんな真波の性格や才能を知っているから、周りの人間もそこまで強く叱らないのだろう。読者も真波の清々しさには、遅刻に対してもつい許してしまいそうになる。
スポーツ選手に遅刻は許されないかもしれない。しかしスポーツ漫画の場合、それを覆せるほどの才能と実力を持つキャラなら容認されてしまうのだ。特にカリスマ性のあるキャラには、人を惹きつけて納得させてしまう何かがあると言えるだろう。