■絢爛豪華な世界で繰り広げられる“復讐”の物語…『禁断の花魁 ~愛から生まれた復讐~』
『JOUR』(双葉社)にて連載された『禁断の花魁 ~愛から生まれた復讐~』は、あいざわあつこさん、MONTAさんのタッグが贈る花魁漫画である。
主人公の少女・幸は親を失い、遊郭の女衒に拾われたことをきっかけに、遊女候補の“禿(かむろ)”として新たに「ゆきじ」の名を与えられ生活していく。花魁の明里に気に入られ幸せな日々を過ごしていたゆきじだが、その明里花魁が何者かによって殺害されてしまい運命は大きく動き出していく……というストーリーだ。
親を失い拾われた主人公が“花魁”の世界に足を踏み入れていく展開はほかの花魁漫画にも見られるが、本作の独自性はやはり主人公・ゆきじが“花魁”を目指す動機にこそあるだろう。
彼女は慕っていた明里花魁を殺害した人物を探すため、自らが花魁になり手掛かりを掴もうと画策していくのだ。いわばこれはゆきじが“復讐”を成し遂げるための物語でもあり、これまでの花魁漫画とは一風変わった独特の切り口で描かれている。
“花魁”独特の華やかさと苛烈さが混ざり合った世界観はもちろん、ゆきじの復讐相手の存在や彼女の隠された生い立ちなどもちらつく、混然一体となったストーリー展開が読者を激しく惹きつける。
復讐のためしたたかに生きていくゆきじのキャラクター像はもちろんのこと、物語を彩るサブキャラクターたちも魅力的な面々が揃っており、彼ら一人一人の生きざまにも注目だ。
はたして、ゆきじが復讐を誓う相手は誰なのか。そして、彼女の復讐は成し遂げられるのか。絢爛豪華な世界の裏に潜む不穏な“謎”に思わず惹きつけられてしまう、サスペンス性溢れる一作である。
華やかでありながら、“成り上がり”を目指した女性たちの熾烈な戦いが繰り広げられる花魁の世界は、さまざまな漫画作品のテーマとして取り上げられている。作品ごとの色で描かれる美しくも儚い“花魁”たちの姿を、ぜひ、ご自身の目で確かめてみてほしい。