■香り付きやねり消し、転がして遊べるデザインも人気だった「消しゴム」
昭和に実に多くのデザインが誕生した文房具が「消しゴム」である。令和の今でも“デザイン消しゴム”といった精巧な玩具消しゴムが販売されているが、その走りとなったのが昭和の消しゴムだろう。
まず人気だったのが、“香り付き消しゴム”だ。イチゴやメロン、コーラなどの香りがする消しゴムは人気で、筆者も授業中によく匂いを嗅いでいた。そのたびになんだかお腹が空くような気分になっていたっけ。
また“ねり消し”も大ブームだった。もともとデッサン用に作られた商品だというが、消しゴムが伸びる面白さにハマって休み時間にみんなで伸ばして遊んでいた。そういえば、あの当時は“消しゴムカスを集めるとねり消しが作れる”と噂され、やたら消しゴムのカスを集めた記憶もある。
ほかにも子どもたちから人気だったのが、超ミニサイズの消しゴムやリップの形の消しゴム、転がすと占いもできるといった、遊べるデザインの消しゴムだ。この当時の消しゴムはデザインが重視され、今のように“よく消える“、“消しカスがまとまりやすい”といった機能性はあまり重視されていなかったようにも思う。
■やたら太い、占いもできる「シャープペンシル」
中学生になると、“シャーペン”こと「シャープペンシル」の使用が認められた学校も多かっただろう。昭和のシャーペンはデザインがポップで、学生から人気なものはほとんどプラスチック製だった。
消しゴムと同様に“遊べるデザイン”も多く、ペンをノックすると中身の軸が回って占いやゲームができるものや、“注射”を意識したデザインのもの、やたら太くて存在感のあるものなど、さまざまなシャーペンが発売された。
筆者も中学生になるとポップでかわいいシャーペンをたくさん買った。ペンケースがそんなシャーペンでいっぱいになると嬉しかったが、結局書きやすいシャーペンは書道展の付録でもらった渋いデザインのものだったことを思い出す。
ちなみに当時のシャーペンは1本300円くらいで購入でき、友達の誕生日プレゼントなどに最適だった。しかし現代ではなんと1本1万円以上の高級品も販売されており、デザインだけでなく書きやすさを重視した機能性の高い物が増えていることにも驚きだ。
昭和時代において「文房具」とは、友達に手紙を書いて送ったり、誕生日プレゼントとして渡したりと、重要なコミュニケーションツールにもなっていた。そのため、“香り付き”、“ゲーム付き”といった、遊び心満載のポップなデザインになっていたのかもしれない。
現在販売されている文房具の多くは機能性が重視され、見た目も変わっている。しかしなかには昭和の雰囲気が漂うレトロで可愛い文房具もあるので、たまには文具コーナーをのぞいてみるのも楽しいだろう。