1979年から放送された『ガンダム』シリーズは2024年で45周年を迎え、日本を代表するロボットアニメとして幅広い世代に愛されている。今やその機体数は数え切れないほどに増加したが、その全ての機体がかっこいいというわけでもなく、MA(モビルアーマー)と呼ばれる人型ではない機体はとくに不気味な見た目をしているものが多い。
たとえば『機動戦士ガンダム』に登場した「ビグ・ザム」は、円盤状の巨大なボディから2本の足がスラっと伸びた機体で、見た目だけで評価するならばなんとも不気味な機体である。
今回はそんなビグ・ザムのように、独特なデザインが不気味に見えてしまうMAたちについていくつか紹介していきたいと思う。
■小顔なのに可愛く見えない…「アプサラス」
まずは、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場した、巨大MA「アプサラス」を紹介しよう。
拠点強襲用に開発されたアプサラスは、ミノフスキー・クラフトの試験飛行中、第08MS小隊の前に突如その姿を現した。
巨大なドームのような形状にザクIIの頭部をちょこんと乗せたいびつな見た目が、不気味さを引き立たせている。さらにボディの中心部分には巨大なメガ粒子砲の砲門がむき出しで備えられており、第一印象から凄まじい威圧感を放っていた。
空中を高速で移動するアプサラスだが、空の青には馴染まない深緑のカラーを身にまとっており、初登場を果たした第4話の「頭上の悪魔」というタイトルがぴったりな機体である。
四肢を持たず、巨大なボディに乗せられた小さな頭部は違和感でしかなく、お世辞にもかっこいい見た目だとは言い難い。作中でアイナ・サハリンは、アプサラスのデザインは“女性の子宮”を模したものだと明言しているようだが、そのコンセプトを人殺しの兵器に採用してしまうあたりがこの機体の不気味さをさらに倍増させているように思えてしまう……。
■メカメカしい姿にロマンを感じる「シャンブロ」
続いては『機動戦士ガンダムUC』より、水陸両用MAの「シャンブロ」を紹介したい。
深紅のカラーリングで刺々しい見た目をしているシャンブロ。羽のように左右に突き出した巨大な肩には拡散メガ粒子砲が搭載されており、空中を漂うリフレクター・ビットに反射させることで、広範囲かつ予測不能な攻撃を仕掛けることができるMAだ。
猫背でドレスを引きずっているように見えるその姿は威圧感と不気味さを漂わせ、広域に伸びる巨大なフレキシブルアームのおかげで、巨体ながらも隙のない機体である。しかし自重に対する推進力が不足しており、飛行はおろかジャンプもできないため地面付近をホバー移動することしかできない。
シャンブロは本来複数のパイロットが一緒に搭乗し、各部を分担して操縦する機体だった。そうした分担前提の装備に水陸両用のための変形機構が相まって、詰め込みすぎているようにも見えてしまい、実際の強さは一度観ただけでは伝わりにくいようにも思う。
筆者はじっくりと見ているうちにシャンブロのメカメカしさにロマンを感じるようになったのだが、不気味さや無駄ばかりが目に付いてしまう人もいるなど、個人の印象が大きく二分されるMAではないだろうか。