『変な絵』のベストセラー作家・雨穴が語った「高橋留美子」と『めぞん一刻』 「漫画家という仕事に興味を持ちました」の画像
『変な絵』の著者・雨穴氏

 なにげない日常に埋めこまれていたミステリを紐解く――。YouTuber兼ホラー作家として活躍する「雨穴(うけつ)」氏のヒット作『変な絵』(双葉社)がコミカライズされることになり、コミックシーモアにて独占先行配信がスタートした。

 今回の『変な絵』のコミカライズでは、雨穴氏が作画担当の漫画家・相羽紀行氏とともにキャラクターデザインを練り上げ、ネーム(下書き)も自ら監修。小説の世界観を丁寧にマンガ化しているという。

 雨穴氏にとって、漫画とはとても思い入れの深いメディアだ。というのも、彼が「もの作り」に挑むようになったきっかけが漫画だったからだ。そんな雨穴氏に、漫画への思いをあらためて聞いた。

 

――『変な絵』のコミカライズにあたっては、雨穴さんはどのように関わっていたのでしょうか。

「『変な絵』の登場人物については、自分の中にイメージがそれぞれあるのですが、はっきりと固まっているわけではなかったので、漫画家さんにお伝えするときにどう伝えるべきか悩みました。

 たとえば、『変な絵』の第三章には熊井勇という年老いたベテラン記者が登場します。そこにはモデルが明確にいたわけではありませんが、刑事ドラマに出てくる俳優さんのようなイメージがありました。“出世をせずにずっと現場で捜査を続けているガンコ者の刑事”のような。そういうイメージを漫画家さんにお伝えして、キャラクターデザインを作っていただきました」

――小説で掛かれた活字の世界から、漫画という画の世界へ。メディアミックスでキャラクターをビジュアル化していく面白さと難しさに挑まれたわけですね。

「はい。こちらからもいろいろと勝手な要望を出させていただいたのですが、漫画家さんもその要望に対してとてもプロフェッショナルに対応してくださって、満足のいくものができたと思っています」

――雨穴さんは現在YouTuber、小説家、ミュージシャンと幅広い活動をされていますが、以前は漫画家になろうとされていた時期もあったと伺っています。漫画家を志すきっかけになった作品や漫画家さんはどちらでしたか?

「好きな漫画はたくさんあるんですけど、自分が作り手になりたいと思うぐらい影響を受けたのは高橋留美子先生ですね。今の活動を始める前、高橋留美子先生の作品は初期のものも含めて全部読みました。

 高橋先生の作品は登場するキャラクターもすごく魅力的ですし、ポップさを保ちつつ、人間のリアルな心の動きを描写されているところが好きです。“こういう作品が作れたらな……”と思い、漫画家という仕事に興味を持ちました」

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