■【番外編】普通の人なのに…「プロレスラーを絞め殺したことがある」なんて言っちゃダメ

 コミックス6巻に掲載されている「死のパワーゲームの巻」には、一般市民なのにフラグが立つようなセリフを口にする男がいる。

 最愛の義兄であるトキが殺人鬼に変身したという噂を聞きつけたケンシロウ。その行方を追う途中、バーで“力比べをして勝ったものには食料一か月分をやる”というトキ(正確にはアミバ)の木人形狩り隊に出会う。

「食料はいらん きさまらの命かけてもらおう…」と言って腕相撲に挑戦しようとしたケンシロウだが、そこで「ちょっとまった!!」と言う人物が……。そこに登場したのはターバンを巻いた一般人の大男。食料目当てに「おれが先だ!!」と割って入った。

 しかもターバン男は「悪いがあんたまで食料はまわらんぞ!!」「おれは かつてこの腕でプロレスラーを絞め殺したことがある!!」と、豪語する。ああ、自分を大きく見せるこの手のセリフ……、フラグが立つケースだ。

 その後、腕相撲対決をしたターバン男だが、アミバの秘術によってパワーアップした相手の腕力には叶わず、台に仕掛けられていた回転ノコギリによって右腕を失ってしまう。

 おとなしく最初からケンシロウに任せておけば良かったのに……。ザコたちのように命までは奪われなかったものの、威張ったセリフがフラグとなり悲惨な結果となってしまった一般人であった。

 

 今回紹介したフラグが立ちまくっているザコたちは、昔で言う悪代官のような役割だ。余計な一言で自分を大きく見せたあと、あっさりケンシロウにやられてしまうのはもはや運命と言えるだろう。

 しかしこうしたザコがいるからこそ、ケンシロウをはじめとした主要キャラの強さは際立ち、光るのだ。そう考えると、すぐに死んでしまうザコたちは作品を支える重要な役割を担っていると言えるだろう。

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