別離、再会、主人公が天へ…小学生が登校前に号泣した『世界名作劇場』の「めちゃくちゃ泣けた」最終回3選の画像
『世界名作劇場』完結版『フランダースの犬』 [DVD](バンダイビジュアル)
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 1970年代からフジテレビ系で放送されていたテレビ番組『世界名作劇場』は、海外の児童書などをアニメ化したシリーズ作品。いつもは「アニメなんて!」と難色を示した昭和時代の親たちも、日曜19時30分から放送されていた『世界名作劇場』だけはニコニコ顔で許してくれた。

 同番組は提供会社やシリーズなどによりさまざまな名称で放送されたが、日本アニメーションの公式サイトでは1975年の『フランダースの犬』が第1作とされている。

 いずれの作品も、牧歌的でやさしい絵柄ながら、主人公たちが時に残酷な目にあい、涙なくしては見られないエピソードもあった。1980年代には『朝のマンガ劇場』として過去のシリーズを朝7時30分から再放送する地区もあり、同番組を見たあとに号泣しながら登校した思い出があるという人も多いのではないだろうか。

 そこで今回は、20年以上にわたって放送された『世界名作劇場』から、「めちゃくちゃ泣けた」名作の最終回をいくつか振り返りたい。

■誰もが涙とともに「ルーベンス」の名を心に刻んだ…『フランダースの犬』

 最初に紹介する『フランダースの犬』(1975年)は、イギリスの作家ウィーダによる児童文学が原作。1870年頃のベルギー・フランダース地方を舞台に、絵を描くのが得意な少年・ネロと愛犬・パトラッシュを描いた物語だ。両親のいない貧しいネロに周囲は冷たく、特にアロアの父・コゼツによる敵意むき出しな言葉が、子ども心に怖かった。

 アニメでは話数が進むごとに不遇な出来事がネロへと襲いかかり、その最たるものが風車小屋の火事の濡れ衣、そして絵画コンクールの落選だ。貧しさゆえに住む家さえ失うネロだったが、それでも拾った大金を持ち主(コゼツ)に届けると、吹雪の中をさまよいながら教会へとたどり着く。そこで目にしたのが、ずっと見たいと願っていたルーベンス(ピーテル・パウル・ルーベンス)の絵画だった。ルーベンスがどんな画家なのかは知らなくとも、最終回でその名を覚えた人も多いだろう。

 力尽き床に倒れ込むネロは、追いかけて来たパトラッシュを撫でながら「パトラッシュ、疲れたろ。ぼくも、疲れたんだ。なんだか、とても眠いんだ」と語りかける。美しい音楽が流れ、パトラッシュが引く荷車に乗ったネロは天使たちに導かれながら天へと昇っていく……と、この瞬間、誰もが顔をくしゃくしゃにしながら号泣したはずだ。

 一方、コゼツはネロに対する誤った認識を後悔し、コンクール審査員がネロに絵の勉強をさせようとしていたなど好転の真実が語られる。大人になった今なら娘を思うコゼツの気持ちも分からないではないが、当時は「どうしてもっと早くネロを助けてあげなかったの!」と、思わずにはいられない、悲しい最終回だった。

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