漫画に出てくる「潜入シーン」は、潜入するキャラの戦力によって状況が大きく変わる。強キャラの潜入は、敵キャラが自分よりも劣っているということもあり、安心して見ていられるものになる。
しかし、敵側にどう頑張っても勝てない強キャラがいるとなると、それは緊迫したものになっていく。見つかったら確実に殺される……。それが伝わってくるからこそ、読者もドキドキしながら見守ることになる。
そこで今回は、見ていてつい緊張してしまうような潜入シーンを紹介していきたい。
■『HUNTER×HUNTER』メルエムの宮殿へ潜入
まずは冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』(集英社)の潜入シーンから。メルエム率いるキメラ=アントを脅威としたハンター協会は、その討伐を決断した。そして、討伐隊のメンバーのひとり・ノヴがサポートのためにメルエムの宮殿へと潜入を試みた。
潜入の際には、かなり慎重に時間をかけて近づいていく。草木を身にまといながらじりじりと宮殿に近づいていく姿は、まるでゲリラ戦でジャングルに潜んでいる兵士のようだった。そこから宮殿に入ってからもじっくりと周りの様子を探り、1匹のキメラ=アントに目撃されると、頭部を吹き飛ばしてすぐに始末している。しかも血で汚れた靴で歩くとマズイと思い、靴を捨てて裸足になるほど……。
そこまでして、ようやく宮殿の中心へと辿り着くと、ノヴは上から迫る禍々しい強大なオーラに怖気付いてしまう。この先進んだとしても、自分は絶対に勝てないことを察したのだ。
それでも仲間のために念能力である「4次元マンション」を使用し、移動するための出入り口を作成。ノヴは完全に心を折られてしまいそのまま戦線離脱となったが、ゴンたちが有利に戦えるきっかけ作りをしたことは間違いない。
その後、ノヴは恐怖のあまり白髪になり、髪も抜け落ちてしまっていたので、メルエムたちの力はそこまで凄まじかったのだということが伝わる。
■『ドラゴンボール』ナメック星へ潜入
続いては鳥山明氏による『ドラゴンボール』(集英社)でのナメック星への潜入だ。クリリンと悟飯とブルマでナメック星を目指し、そこでのドラゴンボール探し……。そんな時にやってきたのが、フリーザ軍と単独で動いていたベジータである。
いずれもクリリンたちでは手に負えない強キャラばかりで、真っ向から戦うことなどできない。そのため、フリーザやベジータにバレずにドラゴンボールを集めるという、かなり難易度の高い任務を遂行しなくてはならなかった。
最初に訪れた危機が、ドドリアにデンデが殺されそうになったシーン。悟飯が飛び出したことで見つかってしまった。その後、ドドリアが追いかけてくるも、“気”を消すことで居場所を突き止められないようにして逃れている。
気を消すことができるのは、地球人ならではの特技でもあったので、これが潜入に役立っていたことは言うまでもない。ベジータが持っていたドラゴンボールを奪い去ったときも、気を消すことで追跡を免れていた。
そのため、クリリンたちは移動するのにも一苦労……。舞空術で一気に移動すると察知されると思い、最長老の元へと向かう時はあえてゆっくりと移動していた。
フリーザやベジータと万が一戦闘になったら確実に殺されるだけに、その気持ちも分からなくはない。それにクリリンたちが頭脳戦に切り替えたことで、しっかりとふたりを出し抜くことができたので、バトルだけではない面白さを感じることができた。