荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』は、現在第9部『The JOJOLands』が連載中で、未だに人気が衰えることがない。本作はそれぞれの部にラスボス的強キャラが登場し、圧倒的な強さを見せるのも魅力のひとつだ。
強キャラは別格の実力を持つからこそ、確固たる自信を持っていることがほとんど……。しかし実は、そんな彼らが無様に命乞いをするシーンもあるのだ。
そこで今回は『ジョジョ』から、自信に満ちた強気な強キャラがプライドを捨ててまで命乞いをしているシーンを紹介したい。
■カリスマ的悪役・ディオのまさかの命乞い
『ジョジョ』といえばこれ!という強キャラはやはりディオ(DIO)だろう。彼はジョースター家にとって因縁の存在で、第1部からほとんどのストーリーに関わってくる重要なキャラともいえる。
そんなディオの性格は、唯我独尊という言葉がふさわしい自信家。そのため、吸血鬼になる前からもいろんな人間を見下していた。吸血鬼になってからはそれに拍車がかかり、すべての人間が眼中にないといった感じだ。
しかし、ライバルであるジョナサン・ジョースターとの戦いで絶体絶命の危機にさらされたときは、さすがに敗北を覚悟していた。
ディオには“誰よりも生きたい”という欲望があるため、首だけになっても生き延びていた。それ以前に全身が炎に包まれたときもしぶとく生き残っていたので、その生命力には脱帽してしまう。
しかもその後、ジョナサンがディオを道連れに死のうとすると、「おまえにも永遠をやろうではないか!その傷もなおす… エリナと永遠を生きれるぞ…」と発言。まさかあのディオが、こんな風に無様な姿を見せるとは思いもしなかった。
この言動は若さゆえの過ちだったのかもしれないが、結局ディオはジョナサンの肉体を乗っ取って生き残っていたので、しぶとすぎるにも程がある。
■渾身の演技で敵に治療をしてもらおうとした吉良吉影
次は第4部のラスボスの吉良吉影の命乞いを紹介したい。吉良は「平穏な生活」を目標とする殺人鬼である。そんな吉良が初めて感情的になって戦闘をしたのが康一との戦いだ。
このとき、吉良が我を忘れて康一を痛めつけていたところ、ボロボロになった承太郎がその背後に立ち、スタープラチナで高速の拳を何発も叩き込んだ。
本来ならここで決着がついたと思われるが、承太郎も万全の状態ではなかったので、吉良はかろうじて生き延びていた。そんな中、仗助が承太郎や康一のもとにやってきて「クレイジー・ダイヤモンド」で治療する姿を見たことで、吉良は迫真の演技で仗助に迫る。
吉良は一般人に成りすまして「は…早く治してくれぇェ〜~~」と叫んで、仗助に傷を治してもらおうと考えたのだ。これまで自信に満ちあふれ、情けない姿を一切見せることのなかった吉良が、命乞いとも取れるような行動をとったのには驚かされた。
吉良は強キャラではあるが、いわゆる「悪の美学」は持ち合わせていない。そのため、どんな手を使っても生き延びようという気持ちが強かったのだろう。