藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』には、実にインパクトのある食べ物が次々と登場する。ジャイアンの作る奇妙でとてもまずそうな料理も有名だが、その逆もまた然りだ。
ドラえもんの四次元ポケットから登場する食べ物は、のび太が腹ぺこのタイミングで出てくることが多いので、読んでいるこちらもついお腹が減ってしまう。現代ではまだ誕生していない不思議な食べ物に「どんな味だろう?」と、惹きつけられてしまうのだ。
そこで今回は、『ドラえもん』に登場する珍しい食べ物を見ていこう。
■生きている間に食べてみたい…!! 「百年後のお菓子」
『ドラえもん』に登場する“食べてみたいお菓子”ナンバーワンといえば、これを思い出す人も多いのではないだろうか。コミックス11巻「自動販売タイムマシン」に登場する、“百年後のお菓子”だ。
ある日、パパからタバコの買い物を頼まれたのび太。店が休みで帰宅すると、今度は自動販売機で買ってきなさいと言われてしまう。ドラえもんに行ってもらおうとのび太が部屋に入ると、そこには自動販売機のようなものが。これこそが「自動販売タイムマシン」で、過去や未来の商品が買える夢のようなひみつ道具であった。
この道具を使い、のび太は“百年後のお菓子”を購入する。キラキラの宝石箱のようなパッケージに入った、輝く丸いお菓子を口にするのび太。感激の涙を流しながら「うまい!!」「こんな味は初めてだ!」「一つぶごとにジーンと心にしみるあじだ」という食レポに、読んでいるこちらも想像力が膨らみ、ヨダレが出てしまいそうになる。
しかし100年後は物価高なのだろう……この話は食べ終わったあとに23万円もの請求が来るというオチがある。
この作品が描かれたのは1975年なので、100年後というと2075年。あと51年長生きをしたら、本当にこのお菓子を食べられる日が来るかもしれない!?
■育てた植物からまさかのカレーライス!? 「植物改造エキス」
「植物改造エキス」は、大長編ドラえもんシリーズ『ドラえもん のび太の大魔境』に登場するひみつ道具だ。
のび太をはじめとしたお馴染みのメンバーは、ある日、空き地で出会った子犬とともにアフリカのジャングルにある大秘境へと探検に出かける。探検ムードを盛り上げるためにドラえもんが出したのが、この「植物改造エキス」だ。
これは、注射器で木にエキスを注入すると、すぐに実がなって、美味しい食事が楽しめるというもの。大きなヤシの実ほどの実をのび太が割ると、なんとそこには出来立てホヤホヤのカレーライスが!
そのほかにもエキスごとに“ホットケーキの実”や“ラーメンの実”、“カニピラフ”など、食べたいものが植物の実となって登場する。
植物を育てる経緯と、実を割るまでのドキドキ感がたまらないこちらの道具。現代に本当にあれば、インスタ映え間違いなしの大ヒット商品になるだろう。