先月、大ヒット漫画『名探偵コナン』(小学館)の公式Xにて、青山剛昌氏の『まじっく快斗』が7年ぶりに連載再開されるかのような“怪盗キッドの予告状”が投稿されていた。
この“予告状”に胸が躍ったファンも多いことだろう。なにせ、4月12日から公開予定の最新作映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』では、あの怪盗キッド(以下、キッド)が登場するのだから『まじっく快斗』にも注目が集まるものだ。
そんなキッドは、たびたび『名探偵コナン』の映画にも登場している。そこで、ファンならたまらないコナンとキッドの映画での共闘シーンを振り返ってみよう。
■蘭に正体を明かす直前に… 両者に絆が生まれた『世紀末の魔術師』
キッドがコナンの映画に初登場したのが、1999年に公開された『名探偵コナン 世紀末の魔術師』だ。
OPでさっそく登場したキッドは、マンションの高層階に住むコナンの同級生・吉田歩美の部屋のベランダの手すりに立ち、月をバックにして「羽を休めただけですよ」と相変わらずキザなことを言い、歩美の手に優しくキスをする。
全身白ずくめなうえ、突然ベランダに出没するのだから下手したら不審者にも思えなくはないのだが……そこはさすがキッド。小学1年生の歩美はすでに虜になっており、ハンググライダーで飛び立つ様子にメロメロだ。
本作のラストでは、工藤新一の幼なじみ・毛利蘭が“コナンは新一ではないか”と、強く疑いを抱くシーンが描かれている。蘭の想いを知り、正体を隠すのは限界だとコナンが悟る姿がとても切ない。こんなに一途な女性はなかなかいないだろう。しかしコナンが蘭の身を案じ、言おうか言うまいかと思い詰めてしまうのも分からないでもない。
「もしかして、原作よりも先に正体を明かしちゃうの!?」……そう思った矢先、タイミング良く登場したのがまさかの工藤新一だった。何らかの方法(おそらく盗聴器)でコナンの正体に気付いたキッドが新一に変装し、助けてくれるのだ。
これはキッドが襲撃された際、傷ついた彼の鳩をコナンが手当したお礼でもあったのだが、探偵との間に絆が生まれた記念すべきシーンだといえるだろう。
■堂々と素顔をさらしているのにみんな気付かない…『銀翼の奇術師』
2004年に公開された『名探偵コナン 銀翼の奇術師』では、なんとコナンたちの前にキッドが素顔で登場する。素顔といっても、もともと顔立ちが似ている“工藤新一として”であったが、キッド逮捕に執念を燃やしている中森警部もその正体を知らないため、キッドが新一に変装していることが分からない。
新一の登場に驚いた蘭はドキドキしながらも、以前と違う彼の積極的な雰囲気に戸惑う。蘭の友人・鈴木園子は、蘭と新一(変装したキッド)を二人きりにしようと企むのだが、対してコナンはキザなキッドに嫉妬心を抱いて必死に付いて回っており、その仕草が可愛らしかった。園子に「アンタはダメ!」なんて言われていたが……。
この映画のクライマックスでは、コナンとキッドがまさかの“旅客機の操縦”をおこなう。機長と副操縦士が毒によって体調を崩したため、変装したキッドが操縦桿を握り、コナンが補佐を担当するのだ。
いや、さすがに無理があるだろう……と、言いたいところだが、さすが頭脳明晰・運動神経抜群・語学堪能の2人だ。きっちりとこなしていく。しかし燃料トラブルで飛行場まで辿り着けないことが分かると、仕方なく埠頭に強制着陸を試みることに。そしてキッドは飛行場の照明の代わりにパトカーを先導しようと、途中離脱をする。
ここから蘭と園子に操縦の代役が回り、コナンのサポートを受けながら2人の活躍で無事着陸に成功。ハッピーエンドで幕を閉じた。
本作では、新一に扮したキッドがちょっとお茶目な感じに見えるのが面白い。コナンとの距離感も縮まったようにも思えた。