■サラにレコア…シロッコに惹かれた女性たち

 先ほども少し触れたが、最後のテーマはシロッコと女性である。というのも『機動戦士Zガンダム』という作品を語るうえで、「女性」は欠かせないテーマだからだ。

 主人公であるカミーユも数多くの女性と出会い、ぶつかり、𠮟られて、愛されて、すさまじいニュータイプ能力を開花させた。

 対して、“ラスボス”であるシロッコと女性の関係はどうか。まずモテる。一回りも下のサラ・ザビアロフはシロッコに心酔しており、命を懸けることも厭わない。レコア・ロンドはもともと所属していたエゥーゴを裏切り、シロッコの部下になってしまうほどに魅了された。カミーユがサラに向かって言った「そんなにシロッコに抱かれたいのか!」は名セリフである。

 なぜモテるのかといえば、若き天才でありティターンズの権力者でもあるのだが、何よりサラやレコアに対して、愛情を持って接するのだ。彼女たちの才能を認めた上で、女性が上に立つべきだと言ってくれる。これは、誰でも魅了されてしまうだろう。

 ただ、おそらくは愛情を持っているように表面上接しているだけであり、サラやレコアに対して危険な命令を下している。どこまでサラやレコアを大切にしていたのかは分からない。サラが死んだ後は激怒したりもしてはいるが、「自分以外は駒として見ていた」というのが一般的な見方かもしれない。

 パイロットとして、モビルスーツの開発者として、指揮官として、政治家として圧倒的な才能を見せ、さらに女性にモテる――。「宇宙世紀最強は誰か?」という議論にアムロ・レイ、シャア・アズナブル、カミーユ・ビダン、ウッソ・エヴィンなどが挙げられる中、パプテマス・シロッコが「宇宙世紀最高の天才」と呼ばれ、シロッコ最強説が唱えられるのも納得だろう。

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