『鋼の錬金術師』ヒューズや『ワンピース』ギャッツも… “無能力者”なのにかなり重要な立ち回りをしたキャラ4選の画像
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 漫画やアニメに欠かせない設定のひとつが能力だ。それをどう活用するのか、あるいは能力者同士が対決したらどちらが勝つのかなど、いろいろ考えるうちワクワクさせられる。

 そんな能力は作品の面白さの要素として大事だが、中には能力を持たなくても活躍する“無能力者”もいる。そんなキャラを見ていると、能力がすべてではないということを教えられている気もするのだ。

 そこで今回は、能力者も驚いてしまうような「無能力者の活躍」を紹介していきたい。

■『鋼の錬金術師』マース・ヒューズ

 まずは荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)のキャラから紹介していきたい。本作には、錬金術師やホムンクルスといった能力者が多く登場する。そんな中、特別な能力を持たなくても活躍したのがマース・ヒューズ中佐だ。

 ヒューズは周りの者たちに比べれば、戦闘能力はそれほど高くない。にもかかわらずその地位まで昇進できたのは、他の誰よりも頭が切れるからだろう。その証拠に、かなり序盤で物語の根幹にかかわる秘密「国土錬成陣」にいち早く気付き、大総統が敵のホムンクルスと繋がっていることも感じ取っていた。

 しかしそのことをマスタングに警告しようとしたヒューズは、妻のグレイシアに化けたホムンクルス・エンヴィーに撃たれて殉職してしまう……。あまりにも悲惨な末路である。ヒューズの死は、エドやアル、マスタングに大きな影響を与え、彼らがアメストリスの闇に迫るきっかけを作った。

 今思い返しても、早々に世界の危機を察していたヒューズの洞察力には感心してしまう。ヒューズは4巻で死んでしまうので、そこから27巻の完結まで解決に相当な時間がかかっている。もし、ヒューズがあのまま生きていたとしたら、作品の完結はもっと早かったかもしれない。

■『ジョジョの奇妙な冒険』川尻早人

 次は荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)に登場する川尻早人だ。『ジョジョ』といえばスタンド使い同士の戦いで、無能力者が戦いに参加することはまずない。しかし、その概念をくつがえしたのが早人といえるだろう。

 早人が活躍をみせるのは、第4部のラスボス・吉良吉影が彼の父である川尻浩作に成りすましたことがきっかけだ。パパの様子がおかしい……。そんな違和感から観察を続けた早人は、父親が別人であることに気がつく。

 とはいえ早人は普通の小学生だ。どう見ても吉良に適うはずがないと誰もが思っただろう。吉良の最強の能力である「バイツァ・ダスト」の無限ループに利用され、仗助たちが死の危険に晒されたときは絶望しかなかった。

 しかしそんな状況をひっくり返したのが早人。彼は自分にできることを必死に探して、吉良に能力を解除させることに成功した。吉良の油断を突き、彼がみずから口から自らの正体を明かすように仕向けた場面は爽快感しかない。その大人顔負けの聡明さと度胸には、末恐ろしい小学生だと思ってしまったほどだ。

 早人がいなかったら仗助と承太郎は死んでいた可能性も高いし、このふたり無しでは吉良を倒すこともできなかっただろう。それだけ早人の功績は大きいといえる。

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