漫画の強キャラが使う能力のひとつに「時間停止」が挙げられる。時間を止めている間に自分は自由に行動し、相手は何をされているかすら理解できない……。その強力無比な能力は、味方より敵が持っている印象が強いように思う。
敵が時間停止の使い手ならば、どう破るかが見どころとなる。主人公たちの攻略方法に漫画や作者の個性が現れ、過程も結果も作品によって千差万別だ。
そこで今回は、強力な時間停止能力の使い手として立ちはだかり、最後は敗れた敵キャラのやられ方を見てみよう。
■時止めを時止めでやり返される『ジョジョの奇妙な冒険』DIO
時間停止能力の使い手としてもっとも有名な漫画キャラといえば、『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦氏)に登場するDIOだろう。
スタンド「世界(ザ・ワールド)」の能力で数秒だけ時を止められるDIOは、第3部のラスボスとして空条承太郎たちを苦しめた。その強さと知名度は、時間停止キャラの大御所といっても過言ではない。
完全無欠と思われるDIOの「世界」にも、ひとつだけ対抗策が存在した。それは承太郎の「スタープラチナ」が「世界」と同じタイプのスタンドであり、時間を止める能力に目覚めうる存在だったのだ。
時が止まった世界で承太郎がわずかに動けると気づいたDIOは、優位なうちに始末しようとする。壮絶な死闘をくり広げるDIOと承太郎。最終局面では最大9秒の時間停止に覚醒し、「おれが時を止めた…… 9秒の時点でな…」と勝利を確信するDIOだったが……、あと一歩のところで承太郎が時間停止を会得。得意の時止めをやり返される屈辱を受ける!
アドバンテージを失ったDIO。最終的に「スタープラチナ」の一撃で体を砕かれ、敗北するのであった。
時間を操り、すべてを支配しようとしたDIOが自分の時を止められる。因果応報とはまさにこのことだ。
■時間を止めても本人が弱すぎた『ドラゴンボール』グルド
『ドラゴンボール』(鳥山明氏)の「フリーザ編」に登場するギニュー特戦隊のひとり、グルドも時間停止能力の使い手だ。
フリーザ配下のギニュー特戦隊はエリート戦士が揃っているが、グルドはそのなかで極端に戦闘力が低い。それでも時間停止を筆頭とした超能力でメンバーとして認められている、一筋縄ではいかないクセ者だ。
作中では、悟飯、クリリン、ベジータらと激突。グルドは息を止めている間だけ周囲の時間を止められる超能力を駆使し、一時は悟飯たちを翻弄する。
だが、悟飯とクリリンの力はグルドの想定を大きく超えていた。ほんの一瞬でグルドに接近するスピードも、時を止めた隙に隠れても居場所を特定する“気”の使い方も、時間停止では到底覆せない差だった。
追い詰められたグルドは切り札の「金縛りの術」を使うも、最期はベジータの不意打ちを受けて死亡する。時を止める能力は非常に強力だが、それだけでは勝てないのだ。