『週刊少年ジャンプ』のバトル漫画の王道といったら、技や能力、そして肉体を使ってのバトル。強者と強者のぶつかり合いである。
主人公対ライバル、脇役対ボス……歴代のジャンプ漫画では、さまざまな形でベストバウトが繰り広げられてきた。しかしそんな中で、数は多くないが、人間でなく“兵器”が存在感をあらわにするシーンも出てくる。そこで今回は、ジャンプ漫画で兵器によって大きく物語が動いたシーンを紹介しよう。
■『ONE PIECE』バスターコールの軍艦10隻による砲撃
尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』には数多くの能力者が登場し、さまざまな技をフル活用して戦いを繰り広げていく。そんな本作で兵器が存在感を放つ瞬間といえば、やはり「バスターコール」だ。これは、海軍の中将5人と軍艦10隻で総攻撃をおこない、その一帯を殲滅する命令のことである。
作中でバスターコールのようすが描写されているのはおもに2か所。オハラとエニエス・ロビーだ。そしてその両方ともが、海軍軍艦による集中砲火によって焦土と化した。多くの人の命を奪い歴史を葬るそのパワーと残虐性には思わず戦慄してしまう。
海軍中将5人の部分は、その代の能力によって変わってくるだろうが、軍艦10隻による砲撃となれば、さすがに悪魔の実の能力者であってもしのぐことは難しいだろう。
覇気や悪魔の実の能力者であっても、対抗できるのは本当にごく限られた人物と思われるバスターコール。能力者だらけの『ONE PIECE』の世界にあってなお存在感を放つ、物語を大きく動かすスペックのある兵器群だ。
■『るろうに剣心』津南が作った炸裂弾
和月伸宏氏の『るろうに剣心 ー明治剣客浪漫譚ー』にはさまざまな兵器が登場するが、中でも月岡津南の作った炸裂弾は、物語を動かすほど大きな影響を与えている。
元赤報隊の準隊士だった津南が、当時培った鉄砲火器の知識をもとに作った炸裂弾。物語序盤では、明治政府に対するテロ行為に使われる予定であったが、主人公である緋村剣心に計画を阻止された。
その後、京都編で改良型が再登場したのだが、その活躍ぶりが凄まじいのだ。使われたのは大型の甲鉄戦艦「煉獄」に対してである。これは武装集団「志々雄一派」の長である志々雄真実が全財力の5分の3を費やして購入した、最新式の装甲艦だ。
津南が作った炸裂弾は、なんとその煉獄をたった3発であっさりと沈めてしまった。使用した相楽左之助もその破壊力には思わずドン引き。渡されたとき「護身用」と言われていたのだから、それも当然である。
煉獄が相当に強力な存在であったことは間違いなく、この3発がなければどうなっていたかと考えるだけで恐ろしい。剣術がメインとなる『るろうに剣心』のみならず、ジャンプ漫画全般において、兵器が大きな問題を解決し物語が大きく動くこととなったという、なかなかに珍しい例に思える。