■すべてはメーテルを守るために? 「けんか別れ」
明確な描写こそないものの、その不可解な現象から惑星がなんらかの“意思”を持っていたのでは、と思われるシーンも随所に登場している。鉄郎らが6時間ほど滞在した惑星「けんか別れ」こそ、作中でまさかの結末を迎えた特徴的な惑星だ。
ここは自然に覆われた熱帯惑星なのだが、何より特徴的なのはその惑星の形状である。球を割った半球の星で、もともとは球体だったのだが、星に住んでいた二つの“派閥”の争いが激化したことで、赤道を境に真っ二つに分断されてしまったのである。
科学派と自然派という二大勢力が争いを続けていたが、やがて科学派は見切りをつけ、科学万能機を使うことで自由飛行に移行してしまった。まさに惑星の名前になっているとおり、科学派と自然派が“けんか別れ”したことによって、生まれてしまった惑星なのである。
残された自然派の人々は目玉だけが巨大に進化した独特の姿をしているが、彼らは惑星に降り立った鉄郎らを拉致。自然派の人たちはメーテルをこの星の伝説に登場する“女王”に仕立てあげた挙げ句、その後は“生贄”にしようと彼女に迫っていく。
絶体絶命に陥る鉄郎とメーテルだが、突如、惑星・“けんか別れ”に予想外の大災害が発生し、混乱に乗じて二人は脱出。最終的に惑星・“けんか別れ”は内圧が上がり、爆発してしまった。
二人にとっては予期せぬ幸運であったが、一方で鉄郎はその惑星の姿を見て「メーテルを守るかのようだった」と、何か大きな“意思”のようなものを感じている。メーテルを救うため、あるいは暴走する自然派の人々を止めるために“自爆”したのか……いろいろと想像を働かされてしまう、なんとも謎の多い惑星だ。
冒険の舞台となる個性豊かな“惑星”たちは、『銀河鉄道999』の物語において欠かすことのできない存在だ。なかでも今回紹介したような“意思”を持った惑星たちが鉄郎やメーテルとかわす会話の内容も、大きな見どころの一つであろう。