『機動戦士ガンダム』ソーラ・システムに30バンチ事件…ジオンより悪い? 「地球連邦軍」の腐敗した輩が強行したヤバい所業の画像
『機動戦士ガンダム』DVD-BOX1(バンダイビジュアル)

『ガンダム』宇宙世紀シリーズにおいて、主人公サイドとして描かれることが多いためか、地球連邦軍が絶対正義でジオン公国軍が絶対悪という認識をしている人も多いだろう。たしかにジオン軍はコロニー落としを筆頭に、非人道的な作戦を行っている。だが連邦軍もまた問題は多い。

 今回は地球連邦軍が正義とは言い切れないような“ヤバい”エピソード、事件をいくつか振り返りたい。

■地球連邦軍の腐敗、堕落がわかるアムロの実家での兵士たち

機動戦士ガンダム』第13話「再会、母よ…」はアムロ・レイの母、カマリア・レイが登場するエピソードだ。カマリアのダメな母親っぷりが印象に残るが、背景には連邦軍の腐敗した姿、地球に残った人の生活が描かれている。

 アムロは父テム・レイによって宇宙で育てられたが、ホワイトベースのクルーとなって久々に地球の実家に帰ると、そこには母の姿はなく、連邦軍の兵士たちが昼から酒を飲み、音楽を聞き踊っていた。話を聞くと空き家だったから入ったと言われる。その後、幼い頃の友人の母親が、連邦軍の兵士にぞんざいな扱いを受けているところに出くわす。

 事情を聞くと、ゲリラ戦地帯でジオン軍の侵攻を連邦軍は防衛していたが、生き残った兵隊は本部から見捨てられてやさぐれている、ということらしい。アムロの家が空き家になっていたのも、カマリアが避難民キャンプでボランティアをしていたためだ。

 ザックリまとめると、ゲリラ地域で連邦軍が撤退し、残った兵士たちが増長している。これから紹介するエピソードと比べると非常に地味ではあるが、市井の人々の生活が侵害され、兵士たちが職務を果たしていないという状況が描かれる。彼らはろくでもない人間に見えるが、命を懸けて戦った結果、見捨てられた人々なのだ。組織に問題があるとも言えるだろう。

 裏側には様々な事情があるだろうし、やむを得なかったのかもしれないが、一年戦争が「ジオン軍が悪、連邦軍が正義」という簡単な二項対立でないことが十分に伝わってくるエピソードだ。

■ソーラ・システムで味方ごと

 ソーラ・システムは『機動戦士ガンダム』で登場する兵器だ。南極条約によって核兵器の使用が禁止されているため、対アステロイド要塞用に用意されたものである。

 これは宇宙空間に大量のミラーパネルを配置し、目標に太陽光エネルギーを集中させるというもので、高熱から甚大なダメージを与えることができる。『機動戦士ガンダム』ではソロモン攻略戦で連邦軍により初めて使用され、勝利を大きく引き寄せる戦果を残した。少なくとも作戦上では正しく使用されたと言えるだろう。

 まずい使われ方をしたのはその4年後を描く、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』だ。連邦軍とジオン軍残党であるデラーズ・フリートの紛争「デラーズ紛争」では改良されたソーラ・システムIIが使用された。

 連邦軍はデラーズ・フリートのコロニー落としを阻止するためにソーラ・システムIIを展開した。司令官は『機動戦士Zガンダム』でも登場するバスク・オムである。

 コロニーに照準を合わせていたが、アナベル・ガトーの妨害により出力が低下した状態で照射してしまい、破壊しきれなかった。

 その後、バスクは凶行に及ぶ。作戦の遂行や自分の兵士たちの命よりも私怨を優先し、射線上に味方船隊がいるにも関わらず第2射を放ったのだ。敵軍にもダメージを与えることはできたが、結局コロニーはほぼ原形を保ったまま、地球に落ちてしまった。

 これだけならヤバい人間の凶行、という話で終わりそうだが、自軍に被害を与えた上に作戦にも失敗したバスク・オムのしたことは表沙汰にならずに終わる。それどころか彼は、デラーズ紛争をキッカケに発足した連邦軍内組織・ティターンズの指揮官に就任している。ジャミトフ・ハイマンが連邦軍内の派閥争いで勝利したためだ。

 そのティターンズがさらに問題を起こしていく。

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