漫画やアニメにおいて、「復讐」を目的として戦場に身を投じるキャラクターは多い。復讐を誓うきっかけはさまざまであるが、肉親を殺害されたことで憎悪が心に深く根付き、その怒りが時折内から溢れ出すシーンには、戦慄が走るというものだ。
今回は、目の前で肉親を殺されたキャラが凄まじい憎悪をのぞかせた、戦慄の瞬間をいくつか紹介したいと思う。
■あまりにも惨すぎる母親の最期…「エレン・イェーガー」
まずは、諫山創氏の『進撃の巨人』より、主人公のエレン・イェーガーを紹介しよう。
突如出現した謎の巨人たちから身を守るため巨大な壁を築いた人類は、その壁の中で100年間の平和な時を過ごしていた。しかしある日その壁を優に超える超大型巨人が出現し壁を破壊したことで、無数の巨人が壁の中へ侵入してくるのである。
瓦礫が自宅の方向に飛んでいくのを確認したエレンは、母・カルラが巻き込まれていないようにと祈りながら自宅へと駆け出す。しかし無常にも家は瓦礫によって破壊されており、カルラは下敷きとなってしまっていた。
その間にも迫ってくる巨人たち。もはや助ける術はなく、駐屯兵団のハンネスに抱えられ、その場から脱出させられてしまったエレン。その視界には、巨人によって瓦礫から拾い上げられ雑に握られる母の姿が……。そのままゆっくりと巨人の大口に運ばれ無惨に噛みちぎられる母を、エレンは呆然と見つめることしかできなかった。
そしてエレンは己の無力さを呪い、避難船から変わり果てた街の様子を見つめ言い放つ。「駆逐してやる!! この世から…一匹…残らず!!」と、鬼の形相で巨人への復讐を誓うのであった。
実は、カルラの死には衝撃の真実が隠されていたことが物語の終盤で明らかとなるのだが、連載当時に初めてこのシーンを見た時は、子どもにこんな表情をさせる物語なのかと戦慄が走ったのをよく覚えている。
■少年が突き落とされた憎しみの底なし沼「うちはサスケ」
続いては岸本斉史氏の『NARUTOーナルトー』より、主人公・うずまきナルトのライバルである、うちはサスケを紹介しよう。
木ノ葉隠れの里の名門“うちは一族”に生まれたサスケは誇りある一族の忍として、そして優秀で優しい兄であるうちはイタチに憧れて日々研鑽を積んでいた。
ある夜、帰り道で一族の者たちが倒れているのを目撃したサスケ。急いで家に帰ると、暗闇に倒れ込む両親の変わり果てた姿があった。そこに佇む兄のイタチから両親を殺した事実を“万華鏡写輪眼”によって見せつけられ、恐怖のなか意識を失ってしまう。その後、肉親を全て失った深い悲しみから心を失いかけたサスケだったが、やがてイタチへの憎しみの感情が心を満たし、復讐を誓うのである。
再び研鑽を重ねたサスケは、数年後に宿場町でイタチと再会を果たす。念願だったイタチを目の前にしたサスケは「うちはイタチ…アンタを…殺す!!」と、殺意をむき出しにするのである。
この時のサスケはあまりにも純粋な殺意に満ち溢れた表情をしており、まるでイタチを殺すだけの殺人マシンのようにも見えて恐怖を感じてしまう。実の兄に向けられた表情とは思えない、『NARUTO』きっての戦慄シーンの一つである。