■『ドラえもん』のび太の祖母の“何度転んでもそのたび起き上がろうと思えるひと言”

 国民的アニメとして長年愛され続ける『ドラえもん』。冴えない小学生・のび太と未来からやってきたロボット・ドラえもんの日常を描いた作品で、ドタバタギャグから感動系までさまざまなエピソードがある。その中から今回紹介するのは、「あの日あの時あのダルマ」というエピソードだ。

 明日はテストだというのに、のび太はやらない理由を探して勉強しない。悩みがあるから集中できないと言うのび太に対して、ドラえもんはひみつ道具を使って悩みを解決する。それでも勉強しないのび太は、どうせ勉強したって意味がないと開き直る始末……。

 これを聞いてドラえもんもさじを投げてしまうが、そんな中、のび太は今は亡き祖母にもらったダルマを見つける。そして、「ダルマさんてえらいね。なんべんころんでも、泣かないでおきるものね。」「のびちゃんも、ダルマさんみたいになってくれるとうれしいな」と、大好きだった祖母が語りかけてくれたことを思い出すのだ。

 当時病床に伏していた祖母は、自身の死が近いことがわかっていたのだろう。可愛くてちょっと心配なところもある孫に最後に向けた言葉には、何度転んでも立ち上がれる強い子になってほしいという願いがこめられていた。

 その言葉を思い出したのび太は、心を入れ替えて勉強を始める。たとえくじけることがあっても、また立ち上がって頑張ろうという気持ちになれるエピソードだ。

■『アルプスの少女ハイジ』アルムおんじの“結果ばかり気にせず頑張ろうと思えるひと言” 

アルプスの少女ハイジ』はアルプスの大自然を舞台に、天真爛漫な少女・ハイジと、祖父である「アルムおんじ」の日々が描かれる。ハイジの友だちで足が不自由な少女・クララとの交流も、本作で重要な要素のひとつだ。

「いつ立てるかなんてどうでもいいじゃないか、そんなこと気にしないで頑張るんだ。さあ、勇気を出しなさい。」

 これは、自分の足で立って歩く訓練をする中で焦りを見せるクララに対して、アルムおんじがかけた言葉だ。いくら頑張ってもなかなかうまくいかないせいで、クララはついに「練習なんかしない」と泣き言を言ってしまう。本当は立ちたくてしかたがないのに、だからこそ思うようにいかないことが悔しくて悲しくて、思ってもいない言葉が出てしまったのだ。

 しかしクララのその複雑な気持ちを、おんじは見抜いていた。そしてクララをやさしく励まし、いつかは立てるんだから結果を急がず頑張ること、大切なのは勇気だと伝える。

 若いときにはどうしてもがんばったぶんだけ結果が欲しくなるものだろう。アルムおんじはそんなクララの心理を理解したうえで、それでも頑張れるような言葉を使ったのだ。まさに年の功というべき名言だと言えるだろう。

 

 今回紹介したセリフはどれも子ども向けアニメに出てくるものだ。だが大人になってから聞いてもその一言は、人生で大切なことを教えてくれる気がする。

 どれも有名な作品だが、だからこそ意外と見たことのない人も多いのではないだろうか。もし気になるものがあれば、ぜひチェックしてほしい。きっと大人になった今だからこそわかることもあるはずだ。

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