1月19日より公開された映画『ゴールデンカムイ』が、公開から17日間で動員が111万人、興行収入が約16億3000万円と絶好調だ。野田サトルさんのベストセラー漫画の初実写化となる本作。原作再現度も素晴らしく、“不死身の杉元”こと杉元佐一を演じた主演の山﨑賢人さんを賞賛する声が多々見られる。
山﨑さんは“実写化請負人”と呼ばれるほど、漫画原作の実写映画で主演を務めることが多い俳優だ。そこで今回は、山﨑さんがこれまで演じてきた役のなかから、原作ファンをうならせた神演技の数々を紹介していく。
■天下の大将軍を夢見る若者・信『キングダム』
まずは、今や山﨑さんの代表作と言っていい大人気映画『キングダム』(原作:原泰久さん)から。中国史上初となる中華統一を果たそうとする若き泰王・嬴政、それを武将となり支え続ける信を主人公とした中華大河ドラマである。
これまでシリーズ3作が公開されている本作だが、2019年公開の1作目で山﨑さんは、戦争孤児で下僕として生きる信を演じている。王弟の反乱により都を逃れてきた秦の若き王・嬴政と出会い、仲間たちとともに王都奪還を目指していく信。大将軍への一歩を踏み出す大事な物語だ。そんな荒っぽくて無作法だが、大きな夢を持ちながら生きる青年・信を、山﨑さんは熱く演じている。
とくに、クライマックスの人斬り・左慈との剣劇シーンは圧巻だ。本作最強の敵として現れた左慈の前に、山の民や壁など次々と倒れ、信も圧倒的な実力差にまったく歯が立たない。そんな絶望の中、追い打ちをかけるような「夢見てんじゃねえよガキが」という左慈の言葉に対して、夢半ばで死んだ親友・漂を思い出し「夢を見て何が悪い 夢があるから立ち上がれるんだろうが 夢があるから前に進める 夢があるから強くなれるんだろうが」と気迫で立ち上がり、勝利する姿には熱いものを感じる。
山﨑さんはこの撮影のため、10kgの過酷な減量をおこなったという。映画を観たファンの感想では「原作のイメージ通り」「無理やり寄せているような不自然さや違和感もない。素晴らしい演技だと思う」と、山﨑さんの姿に自然と原作の信を重ねている人も多かったようだ。
今年2024年には、シリーズ4作目となる『キングダム 大将軍の帰還』が公開予定だ。そこでも山﨑さん演じる信の活躍が非常に楽しみだ。
■ピンク髪の超能力高校生・斉木楠雄『斉木楠雄のΨ難』
次は、2017年公開の映画『斉木楠雄のΨ難』から。原作は、麻生周一さんによる大人気漫画。ピンク髪の超能力高校生・斉木楠雄を主人公に、個性豊かなキャラクターたちが織りなす異色の学園コメディ作品だ。
映画の監督を務めたのは福田雄一さんで、小栗旬さんの映画『銀魂』や、山田孝之さんの人気深夜ドラマ『勇者ヨシヒコシリーズ』など独特な演出に定評がある。山﨑さんが演じてきた実写作品の中でも、一風変わった作品となった。
本作では、山﨑さんのひょうひょうとした演技と心の中での秀逸なツッコミが印象的だった。そして、制御装置である頭の棒を抜かれ超能力が暴走し、体育館ごと宇宙空間を漂ってしまうクライマックスのシーン。橋本環奈さんが演じるヒロイン・照橋心美とのギャグ満載の掛け合い、イケメン山﨑さんの変顔とこれまで見たことがなかったコメディ演技が存分に見られる。福田監督の演出との相性も良く、非常に面白い一作だ。
映画を観たファンの感想では「原作の斉木の振る舞いがそのまま再現されている」「山﨑賢人の無表情な演技と心の声がおもしろかった」と、やはりコメディ演技を評価する声も多かった。
原作者の麻生さんは当初実写化に不安を感じていたようだが、「奇抜な格好に負けない素晴らしいキャスト達のおかげで僕の不安は晴れました!」と語っており、山﨑さんをはじめキャスト陣の熱演を見て、この映画の出来に満足していたようである。