■令和の手芸好きも驚くすぐれた機織り機…トミー『おりひめ』
最後に紹介する『おりひめ』は、1982年にトミーから発売されたいわば機(はた)織り機。「機(はた)」とは布を織る機械のことで、動力化されていない織り機を意味する。そのため毛糸を使った『おりひめ』も、苦労して張った縦糸に対して横糸も自分で通すなど、レバーやハンドルを動かすだけで織れるのとは違って、その過程のほとんどが人力だ。
織りに入るまでのセッティングも手間で難しく、かなり根気が必要となるものの、ダイヤル番号を合わせることでさまざまな模様織りが楽しめた。こうして織り上げた作品の完成度はかなりのもので、令和の手芸好きが試してみたところ「子どものおもちゃとは思えない」「本格的!」などと絶賛するほどだ。
民話の『つるの恩返し』や七夕の織姫のような機織りを、手軽に楽しみながら体験できたのがこの『おりひめ』だった。
タカラトミーからは現在も『すみっコぐらし あむあむたまご』といった、ハンドルを回して平編みと輪編みが楽しめる商品が発売されている。さらに、クローバーから発売されている『ワンダーリリアン』は、2種類のディスクを取り替えることで、リリアン糸以外に毛糸などさまざまな糸を編めるため、ビーズ手芸やあみぐるみも作れるというのだ。
昭和と令和、どの時代の女の子も持っているであろう「きれいなものを作りたい!」という手芸欲を、こうした玩具たちはこれからも叶え続けてくれるのかもしれない。