その死は本望だったのか?歴代『ガンダム』シリーズで「男をかばって死亡した」悲しき女性パイロットたちの画像
画像は『機動戦士Zガンダム フォウ・ストーリー そして、戦士に…』(角川スニーカー文庫)書影より引用

機動戦士ガンダム』シリーズでは、戦争中の生死が描かれることが多い。なかでも、女性が男性をかばうシーンは印象的。自らの命を顧みず誰かを助ける行動は「献身」という言葉では足りず、涙を誘うものばかりだった。

 そこで今回は、歴代シリーズから男をかばって死亡した女性キャラクターを5人紹介する。彼女たちが最期に何を思ったのか考えながら振り返りたい。

■2人のパイロットを縛るニュータイプの少女

『ガンダム』シリーズにおいて、誰かをかばって死亡する女性は多い。その元祖とも呼べるのが『機動戦士ガンダム』に登場するララァ・スン。

 ララァは高いニュータイプ能力を見出され、ジオン軍のシャア・アズナブルによって保護された女性。二人は互いに並々ならぬ思いを抱くものの、戦闘中にララァと連邦軍パイロットのアムロ・レイが高いニュータイプ能力によって共感してしまう。

 それをよく思わないシャアはアムロが乗るガンダムを撃墜しようとするが、アムロの突出した能力にかなわない。そしてシャアがあわや撃墜されるという場面で、ララァが彼をかばい、ガンダムのビーム・サーベル攻撃に貫かれて死亡したのだった。

 ララァは人間としてシャアと分かり合い、ニュータイプとしてアムロと共感した。二人に「争ってほしい」と思ってはいないだろうが、結果としてこの二人の運命は、ララァによって翻弄されてしまうことになった。

■高いパイロット適性を持ち献身的に尽くした女性

 徹底された「献身」は自らの存在感を薄め、相手の存在を強めるものなのかもしれない。そう思わせてくれたのが『機動戦士Zガンダム』のマウアー・ファラオ。ティターンズ所属のパイロットで、凜としたたたずまいと高い能力を持つキャラクターだ。

 マウアーは同じティターンズパイロットのジェリド・メサを公私ともにパートナーとし、献身的に支えた。コンビネーションでカミーユ・ビダンを追い詰めたこともある。

 しかし、最終的にはカミーユの乗るZガンダムの攻撃からジェリドをかばって戦死したのだった。最期の言葉は「守ってみせるって、言ったろ……」。最期までジェリドへの愛情と献身を貫いた。

■記憶を失ったまま敵パイロットをかばった強化人間

 男同士の思いに翻弄されて死亡してしまう例は、ララァだけではない。『Z』ではカミーユとジェリドの思いによって、強化人間の少女であるフォウ・ムラサメが非業の死を遂げている。フォウは薬物投与や人体改造によって常人を超える能力を持つ代わりに、記憶を失い精神的に不安定になってしまった。

 地球でカミーユと出会った際、二人は想いを寄せ合うものの敵として戦場で再会。カミーユの説得に心を動かすが、ジェリドの攻撃からカミーユをかばって死亡する。記憶は取り戻せなかったが、カミーユとの思い出を作り、最期は幸せだったのかもしれない。

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