誕生から50周年!今や世界の人気者…昭和のこどもたちが夢中になった「モンチッチ」の再ブレイクのワケの画像
1974年の誕生以降、バリエーション豊かに展開される「モンチッチ」

 おしゃぶり&上目遣いというキュートなルックスで、日本を代表する人気キャラとなった「モンチッチ」が、2024年1月26日に誕生から50周年を迎えた。

 一度は表舞台から退いたモンチッチだが、海を越えたフランスでブレイクし、ここ日本においても昭和レトロブームに乗って人気が沸騰していることをご存知だろうか。そこで今回は、懐かしいモンチッチの歴史や昭和から令和にかけての変化を覗いてみようと思う。

■モンチッチ誕生秘話と日本での人気

 1974年にセキグチから発売されたモンチッチ。当時、「全く新しい人形」と話題になったのは、ぬいぐるみとソフビを組み合わせて作られているからだった。

 おしゃぶりをした赤ちゃんのような姿と、着ぐるみのようなふわふわの体が特徴のモンチッチ。たちまち子どもたちから人気となり、1975年には世界各国でも発売されるようになった。

 実はモンチッチには前身となるぬいぐるみと人形がある。ひとつは1972年に発売されたおサルの「くたくたモンキーシリーズ」。こちらは手足や表情がリアルで、モンチッチとは可愛さの方向性が違う。

 ふたつ目は1973年発売の「マドモアゼルジェジェ」。指しゃぶりをしながらお座りしている少女のソフビで、女児から人気があった。翌年くたくたモンキーシリーズの新作を作るにあたり、この2種類の特徴を組み合わせて出来上がったのが「モンチッチ」なのだ。

 ちなみに名前は、フランス語で「モン(私の)」「プチ(小さくてかわいいもの)」におしゃぶりを吸う際のチューチューという擬音を組み合わせて付けられている。

 モンチッチの可愛さが人々を虜にするのにそう時間はかからず、CMやテレビで紹介されるたびに売り上げはあがり、空前のモンチッチブームが巻き起こる。おままごと用の家具や雑貨なども次々と発売された。

 家族も続々と増え、リボンを付けた女の子も誕生している。名前は同じく「モンチッチ」で、ちょっと紛らわしい。さらに、モンチッチの双子の弟と妹として「マイチッチ」もいた。モンチッチたちは後に夫婦となっていて2004年には双子が生まれるが、名前はこれまた紛らわしく、どちらも「ベビチッチ」だ。

■2017年にフランスでアニメ化され再ブレイク

 モンチッチは1970年代にオーストリアやドイツ、フランス、アメリカなど海外諸国に広がり、今では世界各国で販売されている。が、空前の大ブームも1980年代に入って低迷し、1985年にはフランス以外のすべての国で出荷停止となってしまう。

 しかし、日本には根強いファンが大勢いた。休止になった1985年以降は再販を熱望する多くの声が集まり、セキグチは1996年に満を持して再販を開始したのだ。

 一方のフランスでは、1980年代も安定した人気があった。かつては「KiKi」の愛称で販売されていたが、途中からは「モンチッチ」に統一され、今では大人となった当時のファンがコレクターになったり、子どもにモンチッチを教えたりと、時代を超えて愛されている。

 2017年にはフランスで、マチュー・コルディエ監督による3DCGアニメーションが制作された。同作は魔法世界が舞台で、モンチッチたちは子どもたちの夢を守る番人だ。いたずらっ子の襲撃から夢を守ったり冒険したりと、子どもが楽しめる作品となっている。

 同作のフランスでの視聴率は驚異の30%超え。この高い数字からも、モンチッチが年齢問わず多くの人々から愛されていることがわかる。日本では、2021年にカートゥーンネットワークで吹き替え版が放送された。

 日本でも再販以降は安定した人気を獲得する。特に平成後期から令和にかけては、昭和レトロが流行したことで、「古く見えるけど可愛い」と若い女性の間でヒット中だ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3