■なぜ一糸まとわぬ姿に…!? 『食戟のソーマ』

 最後は2012年から2019年『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、原作・附田祐斗氏、作画・佐伯俊氏の『食戟のソーマ』を紹介する。2015年にテレビアニメ第1期が放送され、2020年の第5期『食戟のソーマ 豪ノ皿』で完結したグルメ作品だ。

 本作は、名門料理学校「遠月学園」を舞台に、料理人の少年・幸平創真の活躍と成長を描いたグルメ漫画だ。神の舌(ゴッドタン)とまで呼ばれる人並み外れた優れた味覚を持つ本作のヒロイン・薙切えりなを筆頭に、美味しさのあまりなぜか一糸まとわぬ姿になってしまうといったお色気要素が多いのも特徴だった。

 アニメ最終回「食戟のソーマ」では、世界的な料理コンクール“THE BLUE”の決勝で出された「地球上になかった一皿」というお題に対して、創真は“女王のためのエッグベネディクト丼”を作る(エッグベネディクトは、物語の序盤えりなが創真の前ではじめて見せた思い出の料理であり、それを進化させたものがこのエッグベネディクト丼であった)。

 試食したえりなはその美味しさのあまり着ていた服が一瞬ではだけ、その影響でなぜか周りの観客全員もあらわな姿に……。さらには会場である城も爆発し、天守閣まで丸裸になってしまうというまさに“やりすぎ”な演出がされていた。

 最終回まで全力で「美味しい!」を“赤裸々”に表現した、意欲的なグルメアニメだろう。

 

 紹介してきたグルメ漫画・アニメはどれも個性的な設定であり、「美味しい!」の表現も現実世界では考えられないようなものばかりだった。しかし、作中で描かれる美味しそうな料理とともに、その大袈裟なリアクションが毎回癖になってしまうほど魅力的だったことは間違いない。

「グルメ」というと一見大人しく感じられるジャンルだが、今やバトルものやスポーツものにも引けを取らない派手な作品も多い。“やりすぎ”な「美味しい!」表現も、グルメ漫画・アニメの醍醐味の1つになっているのだろう。

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