2024年で連載開始50年! 昭和を代表する少女ホラー漫画『悪魔の花嫁』を振り返るの画像
『悪魔の花嫁』第1巻(秋田書店)

 原作:池田悦子さん、作画:あしべゆうほさんによる漫画『悪魔の花嫁』は、1974年12月『月刊プリンセス(1975年創刊号)』(秋田書店)から連載がはじまった作品だ。

 本作は、悪魔・デイモスに魅入られた女子中学生の伊布美奈子が、次々と起こる恐ろしく不思議な事件に立ち向かっていくストーリー。人が亡くなったり、恐ろしい目に遭ったりする展開が多く、当時の読者に恐怖を与えた。

 しかし連載開始から約50年を経た今読み返してみると、昭和の少女漫画ならではのちょっと面白いシーンもある。今日は昭和を代表する少女ホラー漫画の『悪魔の花嫁』を振り返ってみよう。

■主人公にかかわった人が理不尽に…1巻だけで何人も死亡&行方不明

『悪魔の花嫁』では、悪魔・デイモスに愛されてしまった美奈子が、さまざまなトラブルに見舞われていく。美奈子自身はデイモスから愛されているのでさほど危険な目には遭わないのだが、彼女にかかわる友人や関係者が次々に危険な目に遭うという、ちょっと理不尽な話が多い。

 第1話「暗い金曜日」では、美奈子の夢にデイモスが現れて“金曜日の午後1時に会いに行く”と告げる。

 そんななか、美奈子と仲が良いいとこ・森田良は恋人のサチとデートを楽しんでいた。サチはその際、バレエでプリマに選ばれたことを良に報告。公演を見に来てほしいと嬉々として話すのだが、しかしそこに人間に変身したデイモスが現れ、その直後サチは交通事故で亡くなってしまう。

 そして、絶望に暮れる良が美術館でサチに似たプリマドンナが描かれている名画の前に立ちすくんでいたら、彼はなんとその絵の中に閉じ込められてしまい、“失踪”扱いに。くしくもその日は金曜日だった……というエピソードだ。

 1話目にして、デイモスとまったく関係のない人物、それも2人が亡き者になってしまうという、非常に早い展開に驚いてしまう。

 このほかにも『悪魔の花嫁』では美奈子の友人や教師が死んだり、行方不明になったりするケースが多い。

 第3話「月子先生の秘密」では、美奈子の中学校の教師が実はオオカミ女で、彼女を愛した男性教師が嚙み殺されてしまったり、デイモスを愛するヴィーナスが変身した蝶に触ったためにクラスメイトの顔がただれてしまうなど、美奈子にかかわる多くの人物がやたら被害を受けていく。なんとも理不尽すぎるだろう……。

■昭和あるある? サスペンス展開も魅力だった

『悪魔の花嫁』では、“男女の恋愛のもつれゆえの殺人事件”が多く登場する。

 たとえば、第39話「雪おこし」にて。都会から来た男性が崖から転落してしまうのだが、山奥で一人ひっそりと暮らす美女の深雪が彼を介抱し、二人は惹かれ合っていく。

 しかしそこに都会から男性のフィアンセが訪ねてくる。追い返す深雪だったが、それに気づいた彼が追いかけようとすると、深雪は彼を都会に返したくない一心で壺を彼の頭に振り下ろし、結果、殺してしまう。

 また、第46話「白い蝶の悲歌」は、売れない建築デザイナー・徹也に尽くす加代という女のエピソード。徹也は金持ちの令嬢からアプローチされており、彼を奪われたくない加代は自らの顔をろうそくで焼き、家に火を放って彼の設計図を守る演出をする。結局徹也は令嬢をあきらめ、身を挺してまで設計図を守ってくれた加代を選ぶ……という展開だ。

 本作ではこのように男性が美しい女性に目移りし、それに激高した女性が勢いで行動を起こすパターンが少なくない。現代のサスペンスやホラー作品にもたびたび見られるが、嫉妬にかられた思い込みから場当たり的な犯行をするケースが今よりも多かったように感じる。

 また、やたら人が亡くなるシーンの多い本作だが、その亡くなり方も独特だ。背中から矢を射って一突きで相手を殺してしまったり、毒蛇の毒を洋服に塗りこんで殺害に及んだりと、推理小説顔負けのなかなかシュールな死に方が多いのも本作の特徴だろう。

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