荒木飛呂彦氏による漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)には、数多くのキャラが登場するが、中には“イヤ~”な気分にさせられる者も珍しくない。それは人間だけでなく、動物でも同じこと。荒木氏のリアルなタッチで、動物はより生々しく、そして時に人間を脅かす恐ろしい存在として描かれるのだ。
『ジョジョ』には、猫やネズミ、鳥類や昆虫などさまざまな種類の動物が登場しているが、これらが登場するエピソードはホラーチックなものが多い。今回は、『ジョジョ』で描かれたキモい動物をエピソードとともに紹介していきたい。
■知能が高いオランウータンのスタンド使い
まずは第3部に登場した動物から。第3部からはスタンド能力が登場し、主人公・空条承太郎たちの前にさまざまなスタンド使いがあらわれたが、中には人間だけではなく動物のスタンド使いもいた。
第3部の中での動物系スタンド使いは、オランウータンと犬とハヤブサの3匹。いずれも強力な能力の使い手たちだが、この中で特に気持ち悪さを感じさせたのが、オランウータンのスタンド使い。
貨物船の中の檻に閉じ込められていたオランウータンだが、船自体がこのオランウータンのスタンドだということが判明し戦いに突入する。タバコを吸ったりルービックキューブを揃えたりと非常に知能が高く、おまけに女性のシャワーを覗くなど行動が怖すぎる。
ジョジョでは珍しく動物が登場したこのエピソードだが、リアルな絵柄もあってかなり不気味な敵だった。
■トラウマ攻撃を繰り出すネズミの敵
次は第4部に登場したスタンド使いのネズミを紹介したい。これは第4部でも屈指のホラーシーンといえる。それは、肉を溶かすスタンド能力を持ったネズミが、人間を捕食の対象としたからだ。
このシーンがかなり怖い。主人公・東方仗助が老夫婦が住んでいる家の中に入ると、誰もおらず人の声もしない。そして、台所に行くと冷蔵庫が開いていて、そっと覗くと、そこには肉を溶かされ煮凝り状になった老夫婦の姿が……。しかもそれをネズミが食っているというおまけつき。
ネズミは凶悪な顔をしており、攻撃されると恐ろしい叫び声まで上げている。そんなネズミに仗助は完全に引いてしまうことになるが、ほとんどの読者も同じような気持ちだったに違いない。
容姿もかなり不気味だったが、能力を使って肉を溶かして自ら食すという行為が恐ろしい……。動物がスタンド能力を使って、本能のままに動くとかなり恐ろしいことになるということが立証された。