■ネタバレ以上に衝撃な内容『帰ってきたウルトラマン』第37話「ウルトラマン 夕陽に死す」
最後は、1971年放送の『帰ってきたウルトラマン』から。本作は、前3作品『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』の好評をうけ製作された、“昭和第2期”と呼ばれるウルトラシリーズ。ちなみに、タイトルからもうかがえるように「初代ウルトラマンが帰ってきた」という設定でスタートしたが、途中スポンサーの意向で“ウルトラマンジャック”という別のウルトラマンだったことにされている。
問題の回は第37話で、予告編では、夕陽を背景にウルトラマンジャックが羽交い絞めにされボコボコにされるシーンが……。ナレーションは「さぁ来週もみんなで見よう!」という陽気な定番フレーズで終わったが、当時の視聴者である子ども達は到底そんなテンションではなかっただろう。
翌週放送された本編では、冒頭からサブタイトル「ウルトラマン 夕陽に死す」がしめされ、なんとも不穏な雰囲気ではじまった。地球征服を企むナックル星人が、邪魔なウルトラマンジャックを排除すべくさまざまな作戦を企てるという内容で、精神にダメージを与えるためヒロインの坂田アキとその兄の健を殺してしまう。その殺し方も、子ども向けの特撮ドラマとは思えないようなもので、健は車でひき殺され、アキは走る車のドアから放り投げられるという情け容赦ないものだった。
しかしこの作戦は効果抜群で、大切な人の死に動揺したウルトラマンジャックは戦いで精彩を欠き、予告編で出てきたナックル星人とブラックキングにボコボコに痛めつけられる光景になる。そして、ウルトラマンジャックが瀕死状態になってこの回は終了した。ちなみに次の第38話で、この窮地に初代ウルトラマンとウルトラセブンが駆け付け、ウルトラマンジャックは見事復活を果たしている。
今回は、次回予告やサブタイトルでヒーローの死が分かってしまった、特撮作品の“残念な回”を3つ紹介してきた。本文では紹介しきれなかったが『鳥人戦隊ジェットマン』18話「凱、死す!」という回もあり、このときでは事なきを得た凱が最終話の51話で死亡してしまうという変わったパターンがあったりもする。
いずれにせよ、今回紹介したものは、“ヒーローの死”というかなり絶望的な内容、しかもそれを予告やサブタイトルであっさりネタバレしてしまうという、二重で視聴者を悲しませた問題回だった。