■ジャズが聴こえたら…『機動戦士ガンダム サンダーボルト』

 2015年から2017年にかけて公開された『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では、まさにザク目線でガンダムに襲われる恐怖シーンがあった。

 一年戦争の末期、“サンダーボルト宙域”を舞台にした本作は、ジオン軍の義肢兵のスナイパーMS部隊“リビング・デッド師団”と、故郷であるサンダーボルト宙域の奪還を目的とする地球連邦軍所属の“ムーア同胞団”の戦闘を描いている。

 リビング・デッド師団は、デブリに隠れる形で長距離狙撃ビーム砲で狙撃し連邦の進軍を足止め。対するムーア同胞団は、敵狙撃圏を突破すべくフルアーマー・ガンダムを投入する。

 主人公であるイオ・フレミングが乗るフルアーマー・ガンダムは、攻撃力と防御力に優れ、機動力も圧倒的、リビング・デッド師団は長距離からビーム砲を当てることは困難だった。逆に、攻撃により自分の位置を相手に教えることになり、スナイパーが自分の位置を知られては最後、ましてや相手がガンダムであればなおさらである。

 狙撃に失敗したザクII、リック・ドムが次々とやられ、本作のもう一人の主人公、ダリル・ローレンツが乗る旧ザクの超ロングレンジの一射も、サンダーボルト宙域の稲妻によって歪められガンダムを落とすことはできなかった。

 その直後、位置を把握したガンダムはダリルに襲いかかる。「このジャズが聴こえたときがお前の最期だ」というイオのセリフのあとに、スナイパーの照準越しに迫り来るフルアーマー・ガンダムの姿はまさに恐怖だった。

 

 今回は、歴代シリーズの「怖すぎたガンダム」の名シーンを紹介してきた。いずれの作品のガンダムも圧倒的な戦闘力を持ち、敵を殲滅していた。さらにそのガンダムに乗るのがアムロ、刹那、イオなどエース級やニュータイプのパイロットであれば、“鬼に金棒”状態だっただろう。

 視点を変えて見れば、正義のガンダムも非常に恐ろしいモビルスーツだということは間違いないようだ。

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