■チョコラータによる無差別殺人

 最後に紹介する第5部のエピソードはかなり酷い。ボス・ディアボロの腹心であるチョコラータの大暴走によって、関係のない人間が次々と死んでいくからだ。

 チョコラータのスタンド「グリーン・ディ」は、殺人カビを広範囲に広げることで、今いる場所から低い位置へ移動したものをカビ化させて殺す能力を持つ。そしてその死体を媒介にカビは爆発的に繁殖し、被害を拡大していく。街の一般の人たちはそんな攻撃を受けていることも知らず、下へ移動した人間が次々に死んでしまうのだった。

『ジョジョ』には、たくさんの人間が被害にあってしまう場面がいくつかあるが、自分の意志でここまでたくさんの人間を殺したスタンド使いは、チョコラータだけかもしれない。ローマの街が一瞬にして地獄絵図となる、恐ろしいエピソードだった。

 時に日常生活に潜む凶悪さも描く『ジョジョ』。一般人の被害者によって、スタンド能力の恐ろしさが伝わってくる。

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