ある時、小学1年生の次女が「映画っておもしろいの?」と聞いてきた。それならば……と用意したのが、コミカルなジャッキー・チェンの映画だ。
筆者は無類の映画好きなのだが、幼少の頃からジャッキーファンだったもので、大人になってからもDVDを購入したり、VHS時代に録画したものも大事に取っておいている。
少年時代、我々のヒーローだったジャッキー・チェン。当時ファミコンでは、彼の出演作『スパルタンX』(任天堂)や、彼を題材にした『ジャッキーチェン』(ハドソン)などのアクションゲームが発売されるほど、人気を誇っていたものだ。
そんなジャッキーの雄姿を令和の小学生も楽しめるのか、一緒に見てみることにした。
■日本語吹き替えが最高にマッチ! ジャッキーとサモ・ハンの秀逸の駆け引き
映画すべてを見るのは大変なので、アクションシーンをカットして見せてみる。まずはジャッキーとともに「三銃士」といわれたサモ・ハン・キンポーとユン・ピョウが出演している『スパルタンX』と『プロジェクトA』だ。
この2作品は、ジャッキー映画のなかでも最高傑作といっても過言ではない。吹き替えバージョンではジャッキーが石丸博也さんで、サモ・ハンが水島裕さん。名コンビの二人の会話のやり取りも見どころだ。
とくに最高だったのが『プロジェクトA』で、悪党一味から銃の横流しで追われているコソ泥のフェイ(サモ・ハン)が、水上警察のドラゴン(ジャッキー)のもとへ駆け込んで来るシーンだ。
悪党がドラゴンに「兄さん、デブ(フェイのこと)を見なかったか?」と聞くと、ドラゴンが「あ、デブね……向こうへ逃げたよ」と気を利かせて言う。しかし、横流しをドラゴンに邪魔されたことを恨んでいるフェイは「おい! 礼なんて言わねえからな」と思わず声をあげてしまう。
これが悪党たちの耳に入ってしまい、「おい、今デブの声がした!」なんて言われ、慌てて隠れ直すフェイ。するとドラゴンは「デブならここにいるよ」と指差し、そこからフェイが堂々と出てくる……といった流れだ。
“デブ”と連呼するこのやり取り、今のご時世ならアウトなのだろうが、妙に明るくハマっていて面白い。
さらにその後、連れの女性に「ねえねえ、フェイはどうするの?」と聞かれたドラゴンはここでも「フェイだと? あんなアホデブどうなろうと知ったことかい!」と一蹴。そしてまた、そのすぐ後ろにフェイがいる……という“あるある展開”なのだが、これもまた面白く次女も爆笑していた。
■スタントマンとしても最高! 傘1本でバスにぶら下がりに時計台からの落下
ジャッキーといえば、やはりスタントなしでのアクションが最高だ。『プロジェクトA』での時計台からの落下シーンなんて、もはや人間業ではない。思わず次女も目をつぶっていた。こんなの怖すぎる!
そして『ポリス・ストーリー/香港国際警察』での冒頭では、走行中のバスに傘でぶら下がるシーンがある。カーブを曲がるときに遠心力が働くが、それでも傘1本でなんとかこらえているのが凄い。
今の時代ならCGと言われても納得してしまうだろう。次女も「え〜!え〜!」と思わず声をあげており、緊張感が高まっているのが分かった。ジャッキー映画だから普通に見ているが、あらためて考えるとよく落ちないものだと感心してしまう。展開が分かっているのに、気づけば筆者も拳を握ってジャッキーを応援してしまっていた。