普段は仕事や家事で忙しく、アニメをゆっくり見る時間が取れないという人も多いだろう。そんな方は、年末年始のまとまった休みに話題のアニメをイッキ見してみてはいかがだろうか。
今回注目したのは、近年アニメ配信にも力を入れているNetflixのアニメについて。Nマークのオリジナルシリーズには“独占配信”と”Netflix制作”のアニメがあるが、どちらも注目度の高い作品が目白押しなのである。
早速、年末年始にイッキ見したいNetflix配信アニメを2023年公開作品に絞って紹介していく。
■34年ぶりの完全新作!水木しげるさん往年の名作
1963年の初刊行以来多くの人々に愛され続けている『悪魔くん』が、34年の時を経て令和の時代に完全新作で蘇った。初代アニメ版でディレクターだった佐藤順一さんが監督なので、当時のアニメの雰囲気を残しながら令和らしさも加わった作品となっている。
今作の舞台は、1989年放送のアニメから30年以上後の世界。主人公は天才な二代目悪魔くん・埋れ木一郎で、様々な怪奇事件を解決しながら自身の過去や千年王国の目的に触れていくというストーリーである。
悪魔くんのバディは、悪魔と人間のハーフ・メフィスト3世だ。初代悪魔くんとメフィスト2世は今作でも登場しており、初代アニメと同じ三田ゆう子さん・古川登志夫さんが声優を務めているため、かつてアニメを見ていた層にも刺さるだろう。古川さんが一人二役でメフィスト2・3世を演じる親子の会話も必聴だ。
■“乙一”こと安達寛高さん脚本!少年とデーモンの冒険物語
乙一をはじめ、複数名義で活動する小説家・安達寛高さんが原作・脚本を手掛けた『ぼくのデーモン』も2023年に公開されたおすすめアニメの一つだ。制作はタイのStudiolglooである。
物語の舞台は核災害後の世界。「デモニウム粒子」と呼ばれる物質から生まれたデーモン“アナ”と主人公・橘剣斗が、アナを狙う「平和機関」と戦いながら、死んだ母を生き返らせるための旅に出るという物語だ。
デーモンというだけで虐げられ命を狙われるアナと孤独な剣斗の深まっていく絆は、見ている人の胸を打つ。さらに人とデーモンの共存の難しさといったストーリーの深さでいえば、大人向けのアニメではないかと思う。
作中に登場するデーモンは姿形が個体によって違う。アナは全身に目があり、犬とぶたを足したような外見でインパクトも強いが、剣斗に対する愛情の示し方やしぐさがとても可愛いく、見進めるうちに虜になること間違いなしである。
■初のアニメ化!浦沢直樹さん原作のSF漫画
『PLUTO』は、手塚治虫さん原作の『鉄腕アトム』55話のエピソード「地上最大のロボット」を、『YAWARA!』『20世紀少年』の作者・浦沢直樹さんがリメイクしたロボットSF漫画だ。
2003年に『ビッグコミックオリジナル』で『PLUTO』の連載がスタートすると、各方面から絶賛され手塚治虫文化賞マンガ大賞などの多数の賞を受賞している。アニメ化の話も出ていたものの中々実現せずにいたが、2023年ついに初アニメ化を果たした。
「地上最大のロボット」の世界観や物語の背景を忠実に採用し、そこに浦沢さんが得意とするサスペンス要素を加えて新たな息吹を吹き込む。命の尊厳や戦争と平和といったテーマも取り入れることで、視聴者の心を揺さぶる良作となっている。
配信されているのは60分×8話。壮大なスケールの原作を削らず上手くまとめあげられているのは、丸山正雄さん、真木太郎さんといったアニメ界の重鎮たちによる努力の賜物だろう。
■年末年始はホラーでゾクゾク!鬼才・伊藤潤二さん珠玉の名作をアニメ化
多くの漫画家に影響を与えたホラー漫画の鬼才・伊藤潤二さんが描く恐怖の世界をアニメ化した『伊藤潤二 マニアック』。全12話が配信されており、これまでに出版してきた『伊藤潤二傑作集』『魔の断片』『伊藤潤二研究 ホラーの深淵から』の中から厳選された、怖いと人気のあった「首吊り気球」「恐怖の重層」「侵入者」「屋根裏の長い髪」などの20作品がまとめられている。
さらに、常に口に釘を入れているオカルト少年・双一シリーズの中から「四重壁の部屋」を、映画も人気を博した富江シリーズからは「富江・写真」も収録されていて、見どころは盛りだくさん。
オカルト的な怖さだけでなく、『世にも奇妙な物語』のような不気味でシュールな怖さが魅力の伊藤潤二ワールドを、綺麗なアニメーションで余すところなく堪能できる作品に仕上がっている。
■名作ゲームがアニメ化!『鬼武者』
CAPCOMが2001年にリリースした『鬼武者』は、戦国時代を舞台にした“鬼退治”剣豪アクション。ゲーム性の高さが受け、シリーズ4作品の累計販売本数が860万本を超える人気作品となっている。
そんな『鬼武者』が、バイオレンスの巨匠・三池崇史さんを総監督に迎えてアニメ化された。エピソードは全8話で、明智左馬介秀満といったゲームの主人公から宮本武蔵に変更されている。ちなみに、このモデルは昭和の名俳優・三船敏郎さんだ。
元がゲームのためストーリーはオリジナル要素が強く、33日限定で鬼の篭手を借りた宮本武蔵が、人々を脅かす幻魔を退治していくという物語になっている。
映像は3DCGIで描かれた人物と繊細なタッチの手描き背景がMIXされており、リアリティが増す。キャラたちの動きがなめらかなので、手に汗握る殺陣シーンも臨場感たっぷりだ。
紹介したアニメはどれも8〜12話程度で制作されていて、イッキ見には持ってもこいの長さ。現段階では続きが配信されるか不明だが、気になる作品があったら追ってみるのも楽しいかもしれない。