■騎士に憧れる騎士見習い『覇王大系リューナイト』アデュー・ウォルサム

 最後に『覇王大系リューナイト』の主人公であるアデュー・ウォルサムを紹介する。
『覇王大系リューナイト』は、“リュー”と呼ばれる意志を持つロボットと共に旅をするファンタジー系ロボットアニメである。サンライズ製作で、そのファンタジーRPG的要素や頭身の小さいメカデザインなどから、『魔神英雄伝ワタル』の流れを汲む作品と言っていいのではないだろうか。

 主人公であるアデューは、騎士に憧れる騎士見習い。「騎士道大原則一つ!」が口癖で、明るくがむしゃらな少年である。第1話では腹を空かせる子どもたちに、「騎士道大原則一つ!騎士たるもの、困っている者を見捨ててはならない!」となけなしのお金を与えていた(だまし取られていたが)。このように暑苦しくも基本イイ奴だが、作中ではその性格のせいでトラブルに巻き込まれることも多い。

 彼が操る“リューナイト・ゼファー”は、タロット風のカードを使い、炎に包まれ召喚される演出に王道のカッコ良さがあった。また必殺技“覇翔斬り(クラッシュドーン)”はかなりシンプルだが、明るく熱血なアデューにはピッタリの技だったように思う。

 物語前半は、アデューたち登場キャラを生かしたドタバタヒーロー劇で、それはそれで面白かったのだが、後半からは“邪竜族”と呼ばれる凶悪な敵が侵攻してくるシリアスな要素も加わり、さらに熱い展開になっていった。

 

 今回は、1994年「ロボアニメ」の熱血主人公たちの暑苦しい魅力を紹介してきた。1994年から早くも30年が経過して、その間アニメではクール、天才、不良などさまざまなタイプの主人公が誕生した。

 しかし、令和になった現在でも熱血主人公の魅力は全く衰えていない。主人公ではないけれど近年でも、『鬼滅の刃』の煉獄杏寿郎という熱血キャラが大人気になったばかりだ。アニメの熱血キャラとは暑苦しくも、いつの時代も求められる存在なのかもしれない。

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