■一人用のポッドで帰る?ラディッツの謎

 最後に紹介するのは、ラディッツに関する謎だ。ピッコロとの天下一武道会での戦いの後、アニメでは『ドラゴンボールZ』がスタートし、主人公・孫悟空がサイヤ人であるという新たな設定とともに宇宙を舞台にした強敵たちとの戦いが描かれた。

 ラディッツは、孫悟空ことカカロットの兄というこの上ないポジション。しかし、悟空の息子・悟飯を誘拐するなど邪悪過ぎたため、悟空とピッコロペアにやられてしまう。

 もともとサイヤ人として生まれたカカロットは、地球人を全滅させる使命を持って地球に送られていたが、幼児期に頭を強く打ったことが原因で凶暴さを失い、じっちゃんのもとで孫悟空として育てられた。

 そこから数年後、サイヤ人たちは高値で売れそうな星を見つけ、戦力増加のためにと兄であるラディッツが地球までカカロットを迎えにきたのだ。

 孫悟空が実は宇宙人だったという衝撃的な事実が明らかになったシーンだったが、ここで気になるのが、ラディッツの「そこを攻めたいのだが 3人では ちょっと苦戦しそうなんだ」「おまえはまだ戦闘力が完全体ではないが3人に加わってくれればなんとかなる」というセリフ。サイヤ人3人が狙う星の住民はわりと戦闘力が高めなのだろう。ラディッツよりはるかに強いナッパとベジータが苦戦するような星を攻めるために、まだ大した戦闘力じゃないカカロットが加わっても、足手まといではないだろうか。

 さらに言えば、ラディッツはカカロットをどうやって連れて帰るつもりだったのだろうか。ラディッツの乗ってきた宇宙船ポッドは、一人乗り。カカロットが地球にやって来たときの宇宙船ポッドがあるにはあるが、壊れていたらどうするつもりだったのだろうか。

 サイヤ人については「死の淵を乗り越えることで強くなる」といったものや、「戦闘民族ゆえに若い時間が長い」といったものまで、後に明らかになった設定にワクワクさせられた。週刊連載という猛スピードで描かれた物語の中では、細かい部分で矛盾が生じているシーンはあるが、「実はこんな設定があるかもしれない」と謎を追っていくのも読者の楽しみだろう。

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